本学は、9月11日の大学経営戦略会議において「岡山大学高等先鋭研究院」の設置を決定しました。高等先鋭研究院は、本学の4研究所(資源植物科学研究所、惑星物質研究所、異分野基礎科学研究所、文明動態学研究所)を集約し、本学の強みある研究領域の更なる強化と、これに伴うイノベーション創出の更なる推進を目指し、研究力の卓越性と厚みを育成するためのシステムとして設置します。研究院の院長は那須保友学長が、副院長は佐藤法仁副理事・副学長・URAと4研究所の平山隆志所長、芳野極所長、沈建仁所長、松本直子所長が務めます。
今回創設した高等先鋭研究院のポイントは、「箱(組織)ではなく、システムである」という点です。本学の研究・イノベーションを牽引する4研究所間の有機的連携によるシナジー効果を発揮させ、新たに強みとなる研究・イノベーション分野の創出を促します。さらに、高等先鋭研究院の中に新たな研究特区制度として「先鋭研究群」を設置。先鋭研究群ではトップ研究者を集約し、本学の研究を先導するとともに、高等先鋭研究院の下部組織である「グローバル最先端異分野融合研究機構※(以下、G研究機構)」との密な連携によって研究者層に厚みを持たせ、世界トップクラスの研究群を形成・育成するシステムを担います。それぞれのミッションを、高等先鋭研究院はトップ研究群の形成、G研究機構は次世代研究群の形成と明確に位置付け、研究IRに基づく企画・評価・リソースの集中投資により、この両者間で研究群の入れ替えを伴う流動性やイノベーション強化を図るシステムとして設計しています。
また、今回の創設を契機に、本学の既存の研究マネジメント・支援機関は、さらなる研究・イノベーション強化を推進します。 研究推進機構は、本学の研究戦略を推進する総司令塔機能として、研究IRを活用したエビデンスに基づく研究力強化施策等を企画・立案・実施し、IMaC(イノベーションマネジメントコア)は、アジャイル型手法により、プロジェクトベースの取り組み推進によって高等先鋭研究院を支援していきます。
今回の創設について、院長を務める那須学長は「高等先鋭研究院の創設は研究拠点の形成ではありません。既存のG研究機構等との連携によって、トップ研究群の卓越性といずれそれを担う次世代研究群の育成による”厚み”を形成するシステムとして機能します。またこれまで学内の研究者らは、自分たちの研究をどのように大きくしていくかが明確ではありませんでした。今回のシステムは、まず目指す方向として重点研究分野を担う育成ステージであるG研究機構に入れるように研究チームを育成する。そのためのサポートを研究推進機構やIMaCが実施する。基準を満たした後は、次のステージである最重点研究分野を担う高等先鋭研究院を目指す。高等先鋭研究院では、先鋭研究群等にて卓越性をさらに磨くという、サッカーで例えるならばJ1、J2のような階層とそれを育成支援する総合的なシステムを構築しました。このシステムでは、研究IRによる客観的な評価に基づき、高等先鋭研究院とG研究機構での研究群の入れ替えもあり得ますし、基準を満たさなければどちらにも在籍できない、という流動性を持たせています。研究者らが切磋琢磨し、永続的に個人研究を実施するのではなく、研究群として戦略性を持って育成できる道筋をシステムとして明確にし、方向性を示しました。今後、総司令塔機能を担う研究推進機構などの強化を予定しており、全学を挙げてマネジメント・支援できる体制をさらに推進します。岡山大学は変わっていきます。引き続き、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます」とコメントしました。
また副院長を務める佐藤副理事・副学長・URAは、「今回の高等先鋭研究院の設計にあたり、国内外にある高等研究院/機構などの類似した組織、約30機関を調査しました。どの機関も置かれている立場などが異なるため、そのミッションもさまざまですが、総じて「箱」としての組織の役割が強いものでした。本学ではこれら既存の箱としての組織ではなく、育成する「システム」として組み込むというこれまでにない取組を実施します。他に類を見ないシステムですので、困難も失敗もあることを想定していますが、柔軟にシステムを修正するとともに、総司令塔機能を有する研究推進機構の組織改革を含めた機能強化を推進し、ステークホルダーらとともに効果的かつ将来性のあるシステムに仕上げていきたいと思います。卓越、流動、イノベーション創出、育成を兼ね揃えた岡山大学のシステムにご期待ください」と今後の取り組みに意欲を見せました。
本学はこれまでも、研究力・イノベーション創出強化のため、さまざまな取り組みを実施してきました。特に文部科学省の「研究大学強化促進事業」(最終事業評価:S)等では、高度研究系マネジメント人材であるURAの体制の整備・強化や重点研究分野の指定、強みである研究分野の進化に基づく研究所(文明動態学研究所)の創設、国際研究拠点形成事業(RECTORプログラム)等を戦略的に展開してきました。さらに2023年7月には研究IR分析等を駆使し、従来の重点研究分野をさらに強化した最重点研究分野(7領域)を役員会と教育研究評議会において制定し、限りあるリソースの重点投資を決定するなどの覚悟を持った大学改革を推進してきました。今後も本学は、岡⼭⼤学⻑期ビジョン2050「地域と地球の未来を共創し、世界の革新に寄与する研究大学」実現に向け、「知」と「技」の結集によりアカデミアが、地域と社会の変革を先導する気概を持った地域の特色ある研究大学として、さまざまな課題に挑戦します。今回の岡山大学高等先鋭研究院もその実現のためのひとつの仕組み(システム)です。今後も岡山大学の挑戦と変化にご期待ください。
※グローバル最先端異分野融合研究機構(G研究機構)…文部科学省「研究大学強化促進事業」において創設した研究群を育成するための専門機構。10年間の研究大学強化促進事業における育成ノウハウを次に活かすため、高等先鋭研究院との密な連携によって岡山大学における研究・イノベーション力の「厚み」を担っていきます。なお、G研究機構長は高等先鋭研究院の副院長を兼任し、マネジメントの俯瞰も担保しています。
<参考>
・「岡山大学最重点研究分野」を制定 ~地域と地球の未来を共創し、世界の革新に寄与する研究大学を実現するために~
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id12288.html
・岡山大学高等先鋭研究院を創設~我が国初の箱としての「組織」ではなく、育成する「システム」として運用を開始~(2023年9月定例記者会見 )
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20230929-1.pdf
【本件問い合わせ先】
研究協力部研究協力課
TEL:086-251-7115
E-mail:innovation◎adm.okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています。
岡山大学高等先鋭研究院を創設~世界と伍す研究・イノベーションの卓越と厚みを育成するシステムを構築~
2023年09月22日