本学は9月1~2日、鹿児島県奄美大島において、ウイルス感染から植物を守る研究についてのワークショップ「第3回革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム 低分子化リグニンがつくる新たなウイルス対策」を開催しました。
農業現場では、ウイルス被害による経済的・社会的損失が世界的に問題となっています。そのため、植物をウイルス感染から守る早期診断法や感染防止薬剤の研究開発が強く求められています。
今回、農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」において研究拠点を務める本学と鹿児島大学、日本大学、岡山県農林水産総合センター生物科学研究所、奄美大島島おこし生産グループ、株式会社倉源、株式会社カスケード資源研究所などが連携し、奄美大島に自生する植物から採取される低分子リグニンの植物防疫への応用とその社会実装、島おこしの具体策についての協議を重ねました。低分子リグニンとは、木などの植物が木としての構造を保つために持っている高分子化合物の一つです。
開催にあたり、同事業のコンソーシアム・プログラム・マネージャー(研究管理総括役)を務める佐藤法仁リサーチ・アドミニストレーター(URA)が「いままでにない革新的な方法で植物を守り、わが国の農業生産力向上へ寄与するとともに地域経済の活性化を同時に進めるべく叡智を結集していただきたい」とあいさつ。世話人である本学大学院医歯薬学総合研究科(医学系)免疫病理学分野の大原利章助教が低分子リグニンの効能と奄美大島に自生する植物の概要を説明し、参加者らとともに低分子リグニンの講義、植物の伐採と絞り出しの実習、社会実装のあり方などについて熱心に議論を行いました。
なお、本ワークショップは本学が研究拠点(代表研究者:本学大学院自然科学研究科(工学系)の世良貴史教授)を務める農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」において得られた最新研究の叡智を社会に広めるために実施する「革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム」の取り組みとして実施されました。今後、低分子リグニンの応用研究を加速させるとともに、奄美大島の自治体、関係企業らと連携をさらに深め、地域経済の活性化に寄与する異分野融合共同研究と社会実装を精力的に押し進めて行きます。
農林水産省革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)://www.okayama-u.ac.jp/user/ibunyapj/index.html
<参考:革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム>
第1回 網羅的RNAウイルス検出技術DECS法(2015年5月28~29日)
第2回 革新的技術でウイルス感染から家畜を守る-日中叡智共有化ワークショップ-(2015年7月20~22日)
【本件問い合わせ先】
大学院自然科学研究科(工学系)教授 世良貴史
TEL:086-251-8194
(15.09.30)