国立大学法人 岡山大学

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牛白血病ウイルス対策技術のワークショップを開催

2015年12月25日

 本学は11月26日、大切な家畜をウイルスから守るための方策を研究者と現場の人たちとともに考えるワークショップ「第7回革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム -牛白血病ウイルス(BLV)から牛を守る革新的技術の社会実装に向けて-」を、北海道ひがし農業共済組合(北海道標茶町)において開催しました。
 農林畜産水産の現場では、多種多様なウイルスによって経済的・社会的な損失が発生。自然界の動植物が失われることも多く、世界的な自然・環境問題となっています。これらの状況を打開するため、ウイルス感染から動植物を守る早期診断法や、感染を防止する薬剤などの研究開発が強く求められています。
 畜産現場で大きなウエートを占める牛は、わが国のみならず世界の畜産業で極めて重要な家畜です。牛の白血病に関与するウイルスとされるBLVに感染し、発症した牛は予後不良となり、畜産現場の大きな打撃となってしまいます。そこで今回、BLVの現状や、対策にむけた取り組み、新たに開発したBLVウイルス検出法といった叡智の共有化と社会実装について、畜産現場の最前線で活躍する獣医師や家畜衛生保健所職員、農業共済組合らと議論を行いました。
 ワークショップでは、まず革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)でコンソーシアム・プログラム・マネージャー(研究管理総括役)を務める佐藤法仁リサーチ・アドミニストレーター(URA)が、同事業の概要と研究開発した成果物を効果的に現場に共有するための連携強化の重要性について説明しました。次に補完研究機関である国立研究開発法人理化学研究所分子ウイルス学特別研究ユニットの間陽子ユニットリーダーが、「牛の白血病の新しい克服戦略について」と題して解説。BLV感染の最新情報と本事業で完成させた新たな検査法による克服戦略について紹介しました。また、地方独立行政法人北海道立総合研究機構畜産試験場家畜衛生グループの小原潤子研究主査は「牛白血病ウイルスの伝播リスク要因について」をテーマに、同機構での取り組みや問題点とその解決法など事例をもとに話しました。株式会社理研ジェネシスの村松祐理研究員と理化学研究所の竹嶋伸之輔研究員は、新たなBLV早期検査法「BLV-CoCoMo-qPCR法」の原理と検出法について、さまざまな事例を取り上げながら詳細に説明しました。
 参加した獣医師や家畜衛生保健所職員、農業共済組合らと、BLVの克服法や家畜現場での対策方法の効果的なあり方(社会実装化)などについて熱心に議論を重ねました。
 ワークショップは、本事業において得られた最新研究の叡智を積極的に社会に広めるための取り組みとして実施。研究拠点を務める本学と補完研究機関である国立研究開発法人理化学研究所が密に連携し、北海道ひがし農業共済組合、釧路獣医師会、ねむろ獣医師会の共催協力を得て開催しました。今後、新たに開発された「BLV-CoCoMo-qPCR法」を広く畜産現場などに社会実装させるために、関係機関との連携をさらに深め、大切な家畜の保護を精力的に推し進めていきます。
 
 なお、本ワークショップは本学が研究拠点(代表研究者:本学大学院自然科学研究科(工学系)の世良貴史教授)を務める農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」において得られた最新研究の叡智を社会に広めるために実施する「革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム」の取り組みとして実施しました。

農林水産省革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)://www.okayama-u.ac.jp/user/ibunyapj/index.html

<参考:革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム>
第1回 網羅的RNAウイルス検出技術DECS法(2015年5月28~29日)
第2回 革新的技術でウイルス感染から家畜を守る-日中叡智共有化ワークショップ-(2015年7月20~22日)
第3回 低分子化リグニンがつくる新たなウイルス対策(2015年9月1~2日)
第4回 革新的技術で牛白血病ウイルス(BLV)感染から牛を守る(2015年10月11日)
第5回 革新的技術“人工核酸結合タンパク質”の国際展開の強化・促進(2015年10月25~28日)
第6回 低分子化リグニンによるウイルス対策技術の社会実装に向けた研究開発(2015年10月30~31日)

【本件お問合わせ先】
岡山大学リサーチ・アドミニストレーター(URA)執務室
TEL:086-251-8919

(15.12.25)


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