本学は3月25日、園芸学とウイルス学の異分野融合から新たな植物防疫の術を考えるワークショップ「第13回革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム 園芸学とウイルス学の異分野融合研究会」を、プロミティあつぎビル(神奈川県厚木市)で開催しました。
農林産業の現場などでは植物ウイルス感染によって産業的な被害を受けています。また生活に身近な園芸でも、ウイルス被害により貴重な園芸資源の喪失や文化的な打撃を被ることがあります。
今回のプラットフォームでは、研究拠点を務める本学と補完研究機関である公益財団法人岩手生物工学研究センターなどが密に連携し、異分野融合共同研究による植物ウイルス対策の取り組みについて、当該分野の研究者らが叡智を共有化することで効果的な研究開発や社会実装の強化促進を図りました。
具体的には、琉球大学農学部植物病理学研究室の関根健太郎准教授がモデレーターを務め、革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)の研究拠点代表者を務める本学大学院自然科学研究科(工学系)生体機能分子設計学研究室の世良貴史教授が「革新的人工核酸結合タンパク質を用いたウイルス不活性化技術の確立と社会実装」と題して講演。主にウイルスの9 割を占めるRNA ウイルスのゲノム配列を高い親和性で特異的に認識する人工RNA 結合タンパク質を正確にデザインして、植物と動物に「確実に」役立つ、革新的なウイルス不活性化技術について紹介しました。また、同事業の補完研究機関である公益財団法人岩手生物工学研究センターの舘田知佳研究員も、いままで判別が困難であった植物ウイルスの二本鎖RNA網羅的検出技術(DECS法)を利用した早期検出キットと病害対策のあり方について具体的に紹介。参加した園芸学研究者やウイルス学研究者らと、各々の視点から見たウイルス対策と融合することで得られる革新的な植物ウイルス防疫のあり方などについて熱心に議論を重ねました。
なお、本ワークショップは本学が研究拠点(代表研究者:本学大学院自然科学研究科(工学系)の世良貴史教授)を務める農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」において得られた最新研究の叡智を社会に広めるために実施する「革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム」の取り組みの一環として実施されました。今後も農林畜産水産分野や社会を革新する研究開発を精力的に押し進め、社会実装を目指します。
農林水産省革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)://www.okayama-u.ac.jp/user/ibunyapj/index.html
<参考:革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム(過去5回)>
第8回 世界規模での人工核酸結合タンパク質を用いたウイルス不活性化技術を目指す(2015年12月15~20日)
第9回 革新的技術でウイルス感染から家畜を守る-日中叡智共有化ワークショップ2-(2016年3月5~8日)
第10回 革新的技術でウイルス感染から家畜を守る-日中叡智共有化ワークショップ3-(2016年3月8~9日)
第11回 革新的早期検査法とワクチン開発で牛白血病ウイルス(BLV)から牛を守る(2016年3月15日)
第12回 植物防疫の最前線~異分野融合共同研究によるウイルス対策~(2016年3月20日)
【本件問い合わせ先】
大学院自然科学研究科(工学系)教授 世良貴史
(革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム事務局)
TEL:086-251-8194
(16.03.31)