国立大学法人 岡山大学

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サケ稚魚のリモート自動計測実証実験に成功―AIを用いた空間計測技術で泳ぐ魚の自動計測が可能に―

2023年02月17日

◆発表のポイント

  • サケの親魚捕獲、人工ふ化、飼育、放流は資源保護を目的に半世紀以上行われており、サケの回帰来遊数を増やすための人工ふ化放流技術の発展が望まれている。回帰来遊数の増加には健苗な種苗放流が必須であり、健苗判断の一つである肥満度の確認は稚魚に麻酔をかけ、ノギスや電子天秤計を用いた計測に依存していることから、遊泳状態のサケ稚魚の自動計測技術が望まれています。
  • ふ化場で飼育されるサケ稚魚の体長は、30~40mmと小さいうえ、遊泳状態で稚魚の寸法自動計測は困難でした。岡山大学では複眼カメラの視差利用による空間計測技術を泳ぐサケの寸法計測に応用した自動寸法計測の研究を進めた結果、サケマスふ化場にて飼育管理されているサケ稚魚の寸法計測実証実験に成功しました。

 見浪護特命教授と高橋蓮也非常勤研究員は、ステレオビジョンを用いた空間計測について研究を行い、任意対象物の3次元位置姿勢を計測するコンピュータビジョン構築に成功しましました。泳ぐ魚の3次元位置姿勢の計測が可能なためカメラ-魚間の距離が算出でき、魚の寸法を正確に計測できます。そこで調査試験実施場所として某民間ふ化場の施設一部を借り、北海道で水産関連機器の開発・販売をされている有限会社エイビアコーポレーションの阿部孜代表取締役の協力を得て、2月6日から2月8日の間、某民間ふ化場にて、泳ぐサケ稚魚の自動寸法計測実験を行いました。実験は、日中に行う水槽を用いた気中計測(計測の様子とコンピュータの計測画面を上図に示します)と、夜の飼育池に水中カメラを入れて行う水中計測を行い、泳ぐ魚の体長計測ができることを実証するというものです。
 以前の研究でメダカとイトモロコの計測に成功していましたが、サケ稚魚の計測に成功したことにより、提案するリモート計測装置において、養殖産業の社会実装化を進める上で重要なステップとなり、魚種により性質が異なるためターゲットの魚を計測する実証実験は必須です。計測実験の結果、複眼カメラを用いた新手法でサケ稚魚のサイズを計測できることが実証されました。


<研究成果の内容>
 見浪護特命教授は、ステレオビジョン機能を利用する位置姿勢計測方法を発案し、この技術の社会実装を進めるため起業し、ベンチャー企業、(株)ビジュアルサーボを立ち上げました。魚計測の分野で協業できるパートナーを探しています。動画像中の任意立体対象物の位置姿勢計測を瞬時に行うデモンストレーションビデオを、ビジュアルサーボのホームページで紹介しています。



<詳しい研究内容について>
サケ稚魚のリモート自動計測実証実験に成功―AIを用いた空間計測技術で泳ぐ魚の自動計測が可能に―


<お問い合わせ>
見浪 護
岡山大学学術研究院自然科学学域(工)特命教授
岡山大学発ベンチャー:ビジュアルサーボ

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