◆発表のポイント
- 性交時のSquirting(女性の潮吹き現象)の液体の成分は尿であるという説と、スキーン腺と呼ばれる尿道周囲腺からの分泌液であるという説の2つがありましたが、はっきりとは解明されていませんでした。
- 実際の性的刺激による潮吹き現象の液体を分析した結果、主成分は尿であることがわかりました。
- また、液体中のPSA濃度が尿と比較して高かったことから、スキーン腺からの分泌物も含まれていることが示されました。
- 本研究は女性の潮吹き現象を可視化し、動画で直接的に証明した世界初の報告となります。
性交時のSquirting(女性の潮吹き現象)は、オーガズムの前、もしくは最中に腟前壁を刺激することにより、女性の尿道から液体が排出される現象です。排出される液体の成分は、尿であるという説と、スキーン腺と呼ばれる尿道周囲腺からの分泌液であるという2つの説がありますが、はっきりとは解明されていませんでした。
岡山大学泌尿器科同門会に所属するみやびウロギネクリニック(岡山市北区)の井上雅院長と本学学術研究院医歯薬学域(医)泌尿器病態学分野の荒木元朗教授らのグループは、研究に同意を得た一般女性を対象に、膀胱内へ無害であるインジゴカルミン色素を含む食塩水を注入し、その後に性的刺激により潮吹き現象を誘発して動画に記録。噴出された液体を分析した結果、主成分が尿であることを突きとめました。また、液体中のPSA濃度が尿と比較して高かったことから、スキーン腺からの分泌物も含まれていることが示されました。
本研究成果は、2022年8月24日、日本泌尿器科学会の国際誌「International Journal of Urology」に掲載されました。
本研究は、女性の潮吹き現象を可視化し、動画で直接的に証明した世界初の報告となります。
◆研究者からひとこと
以前より「潮吹き現象の正体は何なのか?」と疑問に思い、どうすれば証明できるのかをまじめに考えておりました。そして、無事に証明することができました。この研究は、協力者がいてこその研究であり、本研究にご協力していただいた様々な皆様に感謝いたします。 | 井上 雅 みやびウロギネクリニック院長 |
女性の潮吹き現象を可視化し、解明した画期的な論文です。井上雅先生の英知と情熱が結実し、女性性機能障害への治療にもつながる素晴らしい研究です。「イグノーベル賞級の真面目さとオモシロさを兼ね備えた研究」というお声もいただいております。引き続き、皆様の応援の程、よろしくお願いいたします。 | 荒木元朗 教授 |
■論文情報
論文名: Enhanced visualization of female squirting
(邦題:女性の潮吹き現象の解明)
掲載誌: International Journal of Urology 2022 Aug 24.
著者: Miyabi Inoue, Yuki Sekiguchi, Noriko Ninomiya, Tomoko Kobayashi, Motoo Araki
D O I : 10.1111/iju.15004
U R L: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/iju.15004
■研究者
みやびウロギネクリニック(岡山市北区)院長 井上 雅
女性医療クリニックLUNA(横浜市中区)理事長 関口由紀
二宮レディースクリニック(大阪市中央区)院長 二宮典子
岡山中央病院、岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)助教 小林知子
岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)教授 荒木元朗
<詳しい研究内容について>
Female squirtingの謎の解明へ
<お問い合わせ>
岡山大学 学術研究院医歯薬学域(医)泌尿器病態学分野
(岡山大学病院泌尿器科)
教授 荒木元朗
TEL:086-235-7287
HP:https://www.uro.okayama-u.ac.jp/