国立大学法人 岡山大学

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ヒトiPS細胞由来肢芽間葉系細胞を用いた新規軟骨細胞シートの作製に成功

2023年03月17日

◆発表のポイント

  • ヒトiPS細胞 2株から、四肢軟骨細胞の基になる肢芽間葉系細胞(ExpLBM)を誘導し、細胞シート技術と組み合わせて新規軟骨細胞シートを作製しました。
  • ExpLBM由来の細胞シートは硝子軟骨マーカーであるTypeⅡコラーゲンやアグリカンを発現し、免疫不全ラットの膝関節軟骨欠損部への生着・再生を確認しました。
  • ExpLBM由来軟骨細胞シートは、将来的なヒト関節軟骨疾患の治療マテリアルになると期待されます。

 岡山大学学術研究院医歯薬学域(医学系)の高尾知佳講師、宝田剛志教授、尾﨑敏文教授、中田英二特任准教授らと東海大学医学部の佐藤正人教授、豊田惠利子特任准教授の研究グループは、細胞シート工学と、ヒトiPS細胞由来肢芽間葉系細胞(ExpLBM)を組み合わせた、新規ヒト軟骨細胞シートの作製に成功しました。ExpLBMは軟骨形成能を維持したまま、安定的に拡大培養が可能であることから、細胞工学的加工に適した細胞です。今回作製したExpLBM由来ヒト軟骨細胞シートは、日本人の約40%をカバーするHLAホモドナー由来iPS細胞株を使用しても作製できたことから、今後再生医療への応用が期待されます。成果は2023年2月24日、国際科学誌「Stem Cell Research & Therapy」のShort reportとして掲載されました。

◆研究者からひとこと

 当研究室で開発したヒトiPS細胞から誘導した四肢軟骨細胞の基になる拡大培養可能な肢芽間葉系細胞(ExpLBM)を用いて新規軟骨細胞シートの作製に成功しました。この結果から、ExpLBMが組織工学的加工の可能な細胞であることを示すことが出来ました。将来的にこのExpLBM由来軟骨細胞シートが臨床応用できることを期待しています。
高尾講師

■論文情報
論 文 名:A novel chondrocyte sheet fabrication using human-induced pluripotent stem cell-derived expandable limb-bud mesenchymal cells
掲 載 紙:Stem Cell Research & Therapy
著  者:Tomoka Takao, Masato Sato, Yuki Fujisawa, Eriko Toyoda, Daisuke Yamada, Yukio Hitsumoto, Eiji Nakata, Toshifumi Ozaki & Takeshi Takarada
D O I:10.1186/s13287-023-03252-4
U R L:https://stemcellres.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13287-023-03252-4

■研究資金
 本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)(18bm0704024h0001、橋渡し研究シーズA;JP20lm0203008、 JP21lm0203008)、科学研究費補助金(基盤研究B;21H02643)などの支援を受けて実施しました。

<詳しい研究内容について>
ヒトiPS細胞由来肢芽間葉系細胞を用いた新規軟骨細胞シートの作製に成功


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医歯薬学域(医) 
組織機能修復学分野 教授 宝田剛志
講師 高尾知佳
(電話番号)086-235-7407
(FAX) 086-235-7412
(メール)takarada”AT”Okayama-u.ac.jp
※E-mailは上記アドレス“AT”の部分を@に変えてください。

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