国立大学法人 岡山大学

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新技術:たった10分で骨髄から骨の元になる細胞を採取

2023年03月17日

◆発表のポイント

  • 骨や軟骨に分化できる間葉系幹細胞を、骨髄組織から簡単に取り出せる方法を開発
  • 採取した細胞をマウスに移植すると2ヶ月経っても細胞が生着していることを確認
  • 硬組織に分化する細胞を移植・生着させることで、今後の新たな再生医療へ繋がることを期待

 岡山大学学術研究院医歯薬学域 口腔病理学分野(長塚仁教授)の河合穂高助教の共同研究グループは、骨髄組織から、骨や軟骨に分化する間葉系幹細胞を短時間で多量に採取する新技術を開発しました。また、採取した細胞群は移植可能であり、移植後2ヶ月経っても骨や軟骨に分化する細胞が存在することがわかりました。これらの研究成果は1月23日に、アメリカ骨代謝学会の雑誌である「JBMR-Plus」にResearch Articleとして掲載されました。
 骨や軟骨などの間葉系細胞は、再生が難しく時間もかかります。また、間葉系細胞に分化する間葉系幹細胞は、組織の中にごく少数しか存在せず、採取も難しいことが知られています。本技術は、骨や軟骨など間葉系細胞に分化できる幹細胞を短時間・簡便に採取できる技術であり、採取された細胞は移植可能でした。今後、高齢者など骨折の治癒に時間のかかる患者や、生まれつき骨の形成不全を伴う難病の骨形成不全症患者などに、間葉系幹細胞を移植することで再生を促進したり完治を期待する次世代の再生医療へ繋がる可能性が考えられます。

◆研究者からひとこと

共同研究者の宝田先生と研究の雑談をしている時にヒントを頂き、今回形にすることができました。研究はどこに手がかりが隠されているか分からない。とても勉強になりました。
河合助教

■論文情報
論 文 名:Enzyme-cleaved bone marrow transplantation improves the engraftment of bone marrow mesenchymal stem cells
掲 載 紙:JBMR Plus
著  者:Hotaka Kawai, May Wathone Oo, Kiyofumi Takabatake, Ikue Tosa, Htoo Shwe Eain, Sho Sanou DDS, Shigeko Fushimi, Shitaro Sukegawa, Keisuke Nakano, Takarada Takeshi, and Hitoshi Nagatsuka
D O I:https://doi.org/10.1002/jbm4.10722
U R L:https://asbmr.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/jbm4.10722

■特許
 特願2020-168891「組織再生材料およびその製造方法」

<詳しい研究内容について>
新技術:たった10分で骨髄から骨の元になる細胞を採取


<お問い合わせ>
所属 岡山大学学術研究院医歯薬学域口腔病理学分野
役職名 助教 
氏 名 河合 穂高
(電話番号)086-235-6651

年度