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高齢者は雨季後の暑さに十分に注意しましょう!~最も暑い梅雨明け後1か月間は、高齢者の心血管救急リスクを増やす~

2023年03月17日

◆発表のポイント

  • 2012年から2019年の梅雨から梅雨明けの期間にかけて心血管疾患で救急搬送された65歳以上の高齢者を対象に、気温上昇と心血管救急搬送の関連を調べました。
  • 梅雨明け後1か月間では気温が高いほど心血管救急搬送リスクが増えることがわかりました。
  • 発症前1時間以内もしくは1日以内に暑さに晒された場合がリスクを強める可能性があります。

 心筋梗塞や心不全などの心臓病は死亡率が高く、国際的に極端な暑さと心血管疾患リスクとの関連が報告されています。しかし、近年の気候変動にもかかわらず、東アジア特有の梅雨後の暑さが、高齢者の心血管疾患に及ぼす時間的影響については知られていません。
  岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医)の藤本竜平院生(津山中央病院 循環器内科医長)、鈴木越治研究准教授、中村一文准教授、内藤宏道准教授、中尾篤典教授、伊藤浩教授、頼藤貴志教授らの研究グループは、岡山市の救急搬送データと気象庁のデータを用いて、気温上昇と心血管救急搬送との関連を調べました。対象者は、2012年から2019年までの梅雨入りから梅雨明け3か月までの間に心血管疾患で救急搬送された65歳以上の高齢者6527名の方々です。梅雨時、梅雨明け1か月後、2か月後、3か月後でそれぞれ評価したところ、気温と心血管救急の関連は梅雨明け1か月後に最も高くなり、結果に影響を与えうる相対湿度、気圧、PM2.5濃度を調整して線形に分析したところ、気温1℃上昇ごとに、リスクが34%高くなりました。特に発症1時間前が 33%、1日前が 40%とリスクが高くなりました。さらに、この時期の気温上昇と心血管救急搬送リスクの非線形な関係を検討したところ、気温上昇に伴いリスクが増加することを新たに示しました。高齢者は梅雨明け後1か月間の暑さにより、心血管疾患にかかりやすいと考えられます。近年の猛暑日の増加に伴い、水分補給の促進、断熱住宅やエアコンなどの予防措置を行い、周囲の人々によって高齢者が暑さから身を守り、安全に過ごせるよう社会全体でサポートすることが大切です。本研究論文は、2023年3月9日にアメリカ心臓協会が発行するJournal of the American Heart Association (JAHA)に掲載されました。

◆研究者からひとこと

梅雨後の極端な暑さは心血管疾患に影響を及ぼします!特に高齢者を健康面で支えるため、梅雨明け1か月間はできる限り外出を控え、水分摂取をこまめに行い、涼しい室内で過ごせるよう環境整備を重点的に行うことが、心血管救急の予防につながります。救急搬送データを提供いただいた岡山市救急課の方々に改めて感謝申し上げます。
藤本医師

■論文情報
論文名:Heat Exposure Following the Rainy Season Is Associated With an Increased Risk of Cardiovascular Emergency Among the Elderly in Japan.
掲載誌:Journal of the American Heart Association (JAHA)
著 者:Ryohei Fujimoto, Etsuji Suzuki, Saori Kashima, Kazufumi Nakamura, Hiromichi Naito,
Atsunori Nakao, Hiroshi Ito, Takashi Yorifuji

D O I : 10.1161/JAHA.122.027046
U R L:https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.122.027046

■研究資金
 本研究は、独立行政法人日本学術振興会(JSPS)「科学研究費助成事業」(JP20K10471, JP19KK0418, JP18K10104, JP20K10499)の支援を受けて実施しました。また、救急搬送データは岡山市救急課のご協力をいただきました。

<詳しい研究内容について>
高齢者は雨季後の暑さに十分に注意しましょう!~最も暑い梅雨明け後1か月間は、高齢者の心血管救急リスクを増やす~


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医歯薬学域
(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 疫学・衛生学分野)
津山中央病院 心臓血管センター 循環器内科
医師(大学院生) 藤本 竜平
(電話番号)086-235-7174 / 0868-21-8111

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