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視覚障害の原因疾患の全国調査:第1位の緑内障の割合が40%超〜2018年の視覚障害認定基準改正の影響が判明〜

2023年04月26日

◆発表のポイント

  • 全国調査の結果、2019年度の視覚障害の原因疾患の第1位は緑内障、第2位は網膜色素変性、第3位は糖尿病網膜症でした。
  • 2015年度と比べて順位に変化はありませんでしたが、緑内障の割合が28.6%から40.7%に急増しており、2018年に実施された認定基準改正の影響が大きいと考えられました。
  • 緑内障は末期まで症状を自覚しにくいため、症状が無くても定期的に目の検診を受け、病気の早期発見・早期治療をすることが重要です。

 岡山大学学術研究院医歯薬学域(眼科学)の森實祐基教授と的場亮助教、鹿児島大学大学院医歯薬学総合研究科(眼科学)の坂本泰二教授らの研究グループ(厚生労働省、難治性疾患等政策研究事業、網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究班)は、2019年度に視覚障害の実態の全国調査を行いました。この調査は、2015年度に同グループが日本で初めて行った第1回目の全国全数調査に引き続いて行われた第2回目の調査で、新規に視覚障害認定を受けた18歳以上を対象に、年齢、性別、原因疾患、等級を調べました。全国161の福祉事務所の全てから回答を得て、そのデータを解析した結果、視覚障害の原因疾患の第1位は緑内障、第2位は網膜色素変性、第3位は糖尿病網膜症であり、2015年度から順位に変化はありませんでした。しかし、緑内障の割合が28.6%から40.7%へと急増していました。この増加の背景には2018年に23年ぶりに実施された視覚障害の認定基準改正があると考えられ、その影響の大きさが明らかになりました。
 この研究成果は2023年4月17日にJapanese Journal of Ophthalmologyにオンライン掲載されました。

◆研究者からひとこと

 身体障害のデータを管理する福祉事務所は全国に161もありますが、今回初めて回答率100%を達成し、精度の高い調査を行うことができました。協力してくださった全国の担当者の皆様に感謝申し上げます。
 緑内障は末期まで症状を自覚しにくく、一度進行してしまうと治療をしても視機能を回復することが難しい病気です。そのため、40歳を過ぎたら自覚症状が無くても目の検診を受けることが重要です。また、すでに緑内障と診断されている方は、今回の基準改正によって新たに視覚障害に認定され、必要な福祉サービスを受けられる可能性があります。一度担当の先生に相談されることをお勧めします。

的場助教

■論文情報
論 文 名:A nationwide survey of newly certified visually impaired individuals in Japan for the fiscal year 2019: impact of the revision of criteria for visual impairment certification
掲 載 紙:Japanese Journal of Ophthalmology
著  者:的場 亮(岡山大)、守本典子(岡山大)、川崎 良(大阪大)、藤原美幸(岡山大)、金永圭祐(岡山大)、山下英俊(山形市保健所)、坂本泰二(鹿児島大)、森實祐基(岡山大)
D O I:https://doi.org/10.1007/s10384-023-00986-9

■研究資金
 本調査は、厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患等政策研究事業、網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究)の助成を受けて実施しました。

<詳しい研究内容について>
視覚障害の原因疾患の全国調査:第1位の緑内障の割合が40%超〜2018年の視覚障害認定基準改正の影響が判明〜


<お問い合わせ>
岡山大学 学術研究院医歯薬学域
助教 的場 亮
(電話番号)086-235-7297
(FAX)086-222-5059

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