◆発表のポイント
- コロナ後遺症外来を受診する方の中に、一定の割合で、他の様々な疾患が隠れており、特に高齢者ほど、他の内科疾患が発見される割合が高いことがわかりました。
- 後遺症の症状に関連する病気が見つかる場合は67%で、その他は後遺症症状と関連のない病気も発見されています。
- コロナ感染後も症状が長引くときは、他の病気が隠れていないか診療しておくことが大切です。
岡山大学学術研究院医歯薬学域(医) 高梁(たかはし)総合診療医学講座の中野靖浩講師と、学術研究院医歯薬学域(医) 総合内科学の大塚文男教授らのグループは、岡山大学病院のコロナ後遺症外来(コロナ・アフターケア外来)を受診する患者の中に、一定の割合で、他のさまざまな疾患が隠れていることを明らかにしました。これらの研究成果は、2024年3月5日、ドイツSpringer Nature社のオープンアクセスジャーナルである「Scientific Reports」に掲載されました。
コロナ後遺症は、世界的な社会問題となっており、日本でも診療できる医療機関が増えてきました。しかし、コロナ感染後も長引く症状のすべてが後遺症であるとは限らず、特に高齢者ほど、他の疾患が見つかる割合が高いことがわかりました。コロナ後遺症の診療では、他の疾患が隠れていないかきちんと調べることが大切と考えられます。
本研究成果により、コロナ感染後も長引く症状のある方の中には、実は隠れている他の疾患を診断・治療することで症状が改善する可能性があることが期待されます。
◆研究者からひとこと
当院のコロナ・アフターケア外来は、総合内科・総合診療科の医師が複数人で担当しています。常日頃から総合的に診療する当科だからこそ、隠れた疾患を見逃さずに多く発見できたのだと思います。 これからも総合的な幅広い視点で、診療に臨みたいと思っています。 | 中野 講師 |
コロナ感染後2~3カ月たっても、倦怠感をはじめ色々な症状が続く場合は、かかりつけ医に相談することをお勧めします。コロナ禍での健診控えもあり、きちんと検査をしておくことも大切です。 | 大塚 教授 |
■論文情報
論 文 名:Occult endocrine disorders newly diagnosed in patients with post-COVID-19 symptoms.
掲 載 紙:Scientific Reports
著 者:Nakano Y, Sunada N, Tokumasu K, Honda H, Otsuka Y, Sakurada Y, Matsuda Y, Hasegawa T,
Omura D, Ochi K, Yasuda M, Hagiya H, Ueda K and Otsuka F.
D O I:10.1038/s41598-024-55526-3
U R L:https://www.nature.com/articles/s41598-024-55526-3
<詳しい研究内容について>
コロナ感染後の長引く症状のすべてが後遺症とは限らない~コロナ後遺症外来で見つかった内科疾患から~
<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)
高梁(たかはし)総合診療医学講座
講師 中野 靖浩
岡山大学学術研究院医歯薬学域(医) 総合内科学
教授 大塚 文男
(電話番号)086-235-7342 (FAX)086-235-7345