国立大学法人 岡山大学

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悪性末梢神経鞘腫で腫瘍が悪性化するメカニズムの1つを新たに発見

2024年03月27日

◆発表のポイント

  • 悪性末梢神経鞘腫瘍は非常に稀な悪性腫瘍ですが、手術後の再発や多臓器への転移をしやすく、医療技術が進歩した現代でも未だに予後の悪い悪性腫瘍の1つです。
  • 私たちは、ある2つのタンパク質が相互作用することによって、がん細胞が周囲へ浸潤、転移しやすい形態に変化することを新たに発見しました。
  • タンパク質の相互作用を阻害することで、がんの悪性化を抑える新規のがん治療薬開発への応用が期待されます。

 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の棏平将太大学院生、岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)組織機能修復学の宝田剛志教授、髙尾知佳講師、山田大祐研究准教授、大曽根達則助教、整形外科学:尾﨑敏文教授、藤原智洋講師、運動器医療材料開発講座の国定俊之教授、運動器外傷学講座の中田英二准教授、細胞生物学の阪口政清教授らの研究グループは、悪性末梢神経鞘腫瘍において腫瘍が悪性化するメカニズムの1つを発見しました。研究成果は、国際科学誌「British Journal of Cancer」のResearch Articleとして掲載されました。
 今回私たちは、2つのタンパク質の相互作用により腫瘍が悪性化するメカニズムの1つを新たに発見しました。この相互作用を阻害することによって、がんの悪性化を抑えることができる可能性が示唆され、今までにない新規のがん治療薬の開発に応用されることが期待されます。

◆研究者からひとこと

予後不良な悪性腫瘍の1つである悪性末梢神経鞘腫瘍の治療薬開発を目指し、これまで研究を行ってきました。この研究が少しでも患者様の治療につながるものになればと期待しています。
棏平 大学院生

■論文情報
論 文 名:PRRX1-TOP2A interaction is a malignancy-promoting factor in human malignant peripheral nerve sheath tumors

掲 載 紙:British Journal of Cancer
著  者:Shota Takihira, Daisuke Yamada, Tatsunori Osone, Tomoka Takao, Masakiyo Sakaguchi, Michiyuki Hakozaki, Takuto Itano, Eiji Nakata, Tomohiro Fujiwara, Toshiyuki Kunisada, Toshifumi Ozaki, Takeshi Takarada
D O I:10.1038/s41416-024-02632-8
U R L:https://www.nature.com/articles/s41416-024-02632-8

■研究資金
 本研究は、科学研究費補助金(基盤研究C(21K07178, 21K07192, 22K09401)、若手研究(23K14384)、上原記念生命科学財団(202120121)、武田科学振興財団(2022045851)、小林がん学術振興会(2022ER001)、日本医療研究開発機構(DNW-22022)、創発的研究支援事業(JPMJFR225H)の支援を受けて実施しました

■関連出願特許
名  称:PRRX1とTOP2Aのタンパク質間相互作用と、その阻害薬物
出願番号:特願 2022-158515号
出 願 日:2022年9月30 日
出 願 人:国立大学法人岡山大学

<詳しい研究内容について>
悪性末梢神経鞘腫で腫瘍が悪性化するメカニズムの1つを新たに発見


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)
組織機能修復学分野  
教授 宝田剛志
(電話番号) 086-235-7407

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