国立大学法人 岡山大学

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5分間見流すだけの英単語学習が英検®スコアを向上させる世界初の成果~潜在記憶理論を基盤としたeラーニングの効果検証~

2024年05月23日

◆発表のポイント

  • 言語能力や知識は長期記憶の中でも潜在記憶が基盤で、それは一般的な記憶と大きく異なる特徴を持っています。岡山大学は、潜在記憶の特徴を考慮した学習法と新たなテスト原理を導入した新型eラーニング(マイクロステップ・スタディ:以下、MSS)の開発と社会実装を進めてきました。
  • このたび学校法人柏木学園柏木学園高等学校(神奈川県大和市)と共同し、見流すだけの1日5分程度のMSSに取り組むことで、英検スコアを上昇させられることを科学的に支持できる世界初の成果を得ました
  • 英語学習用eラーニングは多数ありますが、英検スコアを確実に上げられる科学的根拠が示されたのは初めてです。これは語学力の習得に潜在記憶理論が適用できることを意味しています。
  • 現在一般に推奨されている学習法は潜在記憶の特徴から再吟味する必要があります。

 岡山大学大学院教育学研究科実践データサイエンスセンターの寺澤研究室は、潜在記憶の理論と新たなテスト原理を土台として、知識習得の効率化と意欲向上を実現する新しいタイプのeラーニング(MSS)を開発・運用しています。柏木学園高等学校はいち早くMSSを導入し、年単位で日々収集される高精度教育ビッグデータを利用した効果的な学習法と指導法を共同開発してきました。今回、各生徒のMSSの学習量と英検スコアのデータを解析した結果、1日5分程度のMSSの学習量の増加に伴って英検スコアが有意に上昇する研究成果が得られました(日本心理学会第87回大会で発表:2023年9月)。英語力向上を目的としたeラーニングは数多く存在しますが、英検スコアの向上に有効であるとする科学的報告はありません。GTEC®の成績にも同様の成果が得られています(同時プレスリリース)。
 1日5分程度の英単語学習が有意な結果をもたらせた理由は2つあります。一つは新しいテスト原理による自動評価技術で、それについては同時プレスリリースで紹介します。もう一つは潜在記憶研究をベースにしたユニークな学習法にあります。柏木学園高等学校のMSSは「かしみるメソッド(柏木見るだけメソッド)」と呼ばれているように、生徒には「覚えようとせず、見流す程度で学習をサクサク進めていく」ことが求められています。一般に、時間をかけて覚えようとしないと記憶は残らないと思われていますが、それは一夜漬けの学習効果(顕在記憶)にあてはまることで、語学能力や資格試験の成績の基盤にある潜在記憶には覚えようとする/しないがほとんど影響しないことが学術的に知られています。このような潜在記憶の特徴を考慮して開発されたMSSは、従来の学習法や指導法と大きく異なる方法を採用しています。
 さらに、柏木学園高等学校の教員が、岡山大学から毎週送信される学習量データを加工し、生徒の意欲向上に役立てる指導法も開発しました。岡山大学はMSSをモデルとして、新たなテスト原理と潜在記憶理論を教育系企業やNPO等を通じて普及させていくことを計画しています。


潜在記憶理論に基づく効率的な学習法の詳細は別添資料をご参照ください。また、新しいテスト原理と評価の自動化技術の詳細は、同時プレスリリースの資料をご参照ください。
わずか 1 日 5 分の e ラーニングが総合的英語能力試験(GTEC®)スコアを上げられることを支持する研究成果が主要雑誌に掲載(世界初)新たなテスト原理により知識習得はコンピュータに任せられる時代が到来

■補足・用語説明
*1 英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。
*2 GTEC®は株式会社ベネッセコーポレーションの登録商標です。


<詳しい内容について>
5分間見流すだけの英単語学習が英検®スコアを向上させる世界初の成果~潜在記憶理論を基盤としたeラーニングの効果検証~


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院教育学域(教育心理学)
岡山大学大学院教育学研究科附属実践データサイエンスセンター 
教授 寺澤孝文
TEL: 086-251-7433(担当:田邊/山際)
実践データサイエンスセンター教育・心理支援サービス部門HP:https://hito.ccsv.okayama-u.ac.jp/

学校法人柏木学園 柏木学園高等学校:046-260-9011(担当:水谷泰朗)

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