◆発表のポイント
- 清潔間欠導尿を実施中の患者さんから尿を採取し、間欠泌尿器用カテーテルOT バルーンカテーテル®の疎水性フィルターに繰り返し接触させ、その耐久性評価を行いました。
- フィルターは、通常の取り扱い方法の場合はすべてのサンプルで、全く洗浄しなかった場合でも半分以上のサンプルで通気性を維持していました。
- OTバルーンカテーテル®によって、簡便な間歇バルーンカテーテル留置を十分な期間安全に実施できることが示唆されました。
岡山大学病院泌尿器科の渡部智文医員、定平卓也助教、学術研究院医歯薬学域(医)の荒木元朗教授らの研究グループは、大塚テクノ株式会社(徳島県)との共同研究において、OT バルーンカテーテル®(製造販売元:大塚テクノ株式会社)に備わった疎水性フィルターの目詰まり特性を、清潔間欠導尿を実施中の患者から採取した尿を用いて実施しました。その結果、疎水性フィルターは尿曝露後、流水で洗浄した場合はすべてのサンプルで、また、全く洗浄を行わなかったとしても半分以上のサンプルで通気性を維持していることがわかりました。これらの研究成果は5月4日、国際禁制学会(International Continence Society)の学術雑誌「Continence Reports」のResearch articleとして掲載されました。
間歇バルーンカテーテル留置は導尿の手間を減らせる一方、導尿の実施可能な場所を用意し、挿入したカテーテルからの尿流出を実際に確認し留置する必要がありました。今回、OT バルーンカテーテル®の疎水性フィルターが繰り返し尿に触れても高い通気性を維持できることを示しました。この結果によって、OT バルーンカテーテル®の特長である、尿流出の要らないカテーテル留置が、推奨使用期間の間安全に実施できることが示唆されました。
◆研究者からひとこと
これまで、清潔間欠導尿や間歇バルーンカテーテル留置の必要な患者さんは、「導尿の実施可能な場所を用意する」という日常生活上の制限を常に受けてきました。この、我々がともすれば忘れてしまいがちな日常の障壁をどうにか少しでも取り除くことができないものかと考えていたところ、このたびご縁があってこの研究を実施することができました。この研究が排尿障害でお困りの患者さんの生活の質を高める一助となりましたら幸いです。 | 渡部 医員 | 定平 助教 |
■論文情報
論 文 名:The durability of filter cap for OT-Balloon catheter, a novel urethral catheter for intermittent balloon catheterization
掲 載 紙:Continence Reports
著 者:Tomofumi Watanabe, Motoo Araki, and Takuya Sadahira
D O I:https://doi.org/10.1016/j.contre.2024.100049
■研究資金
本研究は、岡山大学と大塚テクノ株式会社の共同研究契約(研究代表者:定平卓也)に基づき、大塚テクノ株式会社から機器と資金の提供を受けて実施しました。
<詳しい研究内容について>
OTバルーンカテーテル®の目詰まり特性評価~行動制限の少ない排尿管理の実現を目指して~
<お問い合わせ>
岡山大学病院 泌尿器科
助教 定平卓也
(電話番号) 086-235-7287
(FAX) 086-231-3986