◆発表のポイント
- 塩ストレスが引き起こす植物の根の成長阻害は、特徴的な活性を持つ二つのカリウムイオン輸送体によって引き起こされることがわかりました。
- カリウムイオン輸送体に注目した、耐塩性作物の新たな生産技術の開発につながることが期待されます。
岡山大学大学院環境生命科学研究科(農)博士後期課程のHiya Hafsa Jahan大学院生(国費留学生)、同大学学術研究院環境生命自然科学学域(農)の宗正晋太郎准教授、村田芳行教授らの研究グループは、塩ストレスが植物の生育阻害を引き起こす原因の一端を明らかにしました。
塩害は、世界中で農作物の生産に悪影響を及ぼしており、塩害に強い作物品種の開発が望まれています。しかし、そのためには植物の持つ塩ストレス応答機構を明らかにする必要があります。本研究では、塩ストレス下で起こる根の生育阻害が、特徴的な活性を持つカリウムイオンチャネル(カリウムイオンの輸送体)によって引き起こされることを明らかにしました。今後、カリウムイオンチャネルに注目した新たな耐塩性作物の生産技術の開発につながることが期待されます。
本研究成果は8月2日、国際科学誌「Journal of Plant Physiology」にオンライン掲載されました。
■論文情報
論 文 名: Outward-rectifying potassium channels GORK and SKOR function in regulation of root growth under salt stress in Arabidopsis thaliana
掲 載 紙: Journal of Plant Physiology
著 者: Hafsa Jahan Hiya, Yoshitaka Nakashima, Airi Takeuchi, Toshiyuki Nakamura, Yoshimasa Nakamura, Yoshiyuki Murata, Shintaro Munemasa
D O I: 10.1016/j.jplph.2024.154322
U R L: https://doi.org/10.1016/j.jplph.2024.154322
本論文のオープンアクセス化は、文部科学省「オープンアクセス加速化事業」の取り組みの一環で実施している「インパクトの高い国際的な学術誌へのAPC支援」による支援を受けています。
■研究資金
本研究は、以下の支援を受けて実施しました。
•日本学術振興会「科学研究費助成事業」基盤研究(B)(22H02303)
•日本学術振興会「科学研究費助成事業」基盤研究(C)(22K05560)
<詳しい研究内容について>
塩ストレスが植物の生育不良を引き起こす仕組み-2つのカリウムイオン輸送体が塩ストレスによる根の成長阻害に関与する-
<お問い合わせ>
岡山大学 学術研究院環境生命自然科学学域
准教授 宗正 晋太郎
(電話番号)086-251-8310