◆発表のポイント
- ナノメートルサイズの水滴が凍る過程を計算機シミュレーションで詳しく調べました。
- 正二十面体形や五方両錐形などのめずらしい構造の微結晶が一定の割合で生じることを突き止めました。
- 雲の中で氷核が生じるしくみを知る手掛かりとなります。
岡山大学異分野基礎科学研究所の松本正和准教授と中国浙江大学の望月建爾教授の研究グループは、ナノスケールの水滴が凍るプロセスを計算機シミュレーションによって詳細に調べた結果、70ºの角度をもつ五方両錐形や正二十面体形の氷の粒が一定の割合で生じることを突き止めました。
この研究成果は2024年10月18日、米国化学会の科学誌「ACS Nano」に掲載されました。
雪の結晶には六角形のものだけでなく、さまざまなイレギュラーな形のものも存在します。そのうち、2つの雪片が70°の角度でくっついた双晶1)と呼ばれる種類の結晶がどのように形成されるかは、長らく議論の的となっていました。
雲の中で生じる氷核は非常に小さいため、ふだん目にする氷や雪とは異なるかたちの結晶になることがあります。氷核の生じる最初の段階を明らかにすることで、人工雨を降らせる際に雲に散布して氷の核ができるのを促す「発核剤」の分子設計にも役立つ可能性があります。
■論文情報
論 文 名:Multitwinned ice nanocrystals.
掲 載 紙:ACS Nano
著 者:X. Zhang, M. Matsumoto, Z. Zhang, K. Mochizuki
D O I:https://doi.org/10.1021/acsnano.4c07226
■研究資金
本研究は科学研究費補助金(21H01047)および中国国家自然科学基金(助成金番号22273083、22250610195、11904300)、中国中央大学基礎研究基金(厦門大学:助成金番号20720220023)の支援を受けて実施しました。
<詳しい研究内容について>
雲の謎を解く?新種の氷、シミュレーションで発見
<お問い合わせ>
岡山大学 異分野基礎科学研究所
准教授 松本 正和
(電話番号)086-251-7846