国立大学法人 岡山大学

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東日本大震災被災農地の野生植物99種における土壌からの放射性セシウム移行係数の評価

2014年02月20日

 岡山大学資源植物科学研究所は、岡山大学自然生命科学研究支援センターと共同し、東日本大震災に伴う原発事故による放射能汚染農地において、放射性セシウム(Cs)の土壌から植物体への移行係数について、野生植物99種について調査するとともに、雑草群落への移行係数を推定しました。これらの情報は、汚染農地の雑草管理に必要な基礎情報です。研究内容は国際学術誌の福島特集号に掲載されるとともに、日本語訳も出版され、内外の研究者へ発信されます。今後、継続的な調査によって、優占的に繁茂する植物種や移行係数の高い植物に着目した雑草管理法の検討をすすめる予定です。
 本研究で、耕地雑草を中心とする99種の野生植物について、植物体の地上部に含まれる乾燥重量あたりのCsの放射線量([Cs]plant, Bq kg-1)を測定した結果、いくつかの種では土壌からの移行係数([Cs]plant/[Cs]soil)が0.4以上と比較的高い値が観測されました。また、雑草群落の面積あたりの地上部に含まれるCs放射線量を推定した調査区では、耕地雑草群落の刈り取りによる土壌からのファイトレメディエーション(生物除染)効率は、年間0.4~0.1%未満と非常に低いことが明らかになりました。
 本研究には主に二つの目的があり、一つは高濃度の放射能汚染農地に実際に生えている野生植物の放射性Cs濃度のデータを蓄積してファイトレメディエーション研究に基礎資料を提供するためであり、もう一つは植物群落によるファイトレメディエーション効率を調べることにより今後どのような耕地管理が望ましいかを検討するためです。
 調査地は福島県飯舘村の4ヶ所の農地であり、いずれも放射能汚染により耕作が停止されています。調査は2012年4月から10月にかけて3回行われ、合計99種の野生植物が4ヶ所の調査区ごと、季節ごとに集められ、ゲルマニウム半導体検出器によってCs放射能が測定されました。耕地雑草群落のCs移行係数の推定は2ヶ所の調査区で行われました。
 本研究の結果は、日本植物学会の国際学術誌「Journal of Plant Research」に掲載されました。本研究の遂行には、岡山大学による大学機能強化戦略経費が使用されました。

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<お問い合わせ先>
岡山大学資源植物科学研究所 助教
山下 純
電話・FAX:086-434-1240

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