難治性脳腫瘍に対する新薬のメカニズムを遺伝子レベルで解明
2013年05月24日
岡山大学病院脳神経外科の黒住和彦講師の研究グループは、難治性脳腫瘍の悪性グリオーマに対する新規分子標的薬(現在開発段階)である、シレンジタイドの抗腫瘍効果メカニズムを遺伝子レベルで解明しました。本研究成果は2013年4月15日に『SpringerPlus』電子版で公開されました。
現在、悪性グリオーマを完治させるための治療薬がないため、様々な基礎的研究や臨床研究が行われているところですが、新薬の治療メカニズムを解明し、今後、変化のある遺伝子に注目して薬剤の開発を進めていけば、さらに効果的な治療法、治療薬を生み出すことができるものと期待されます。
<業 績>現在、悪性グリオーマを完治させるための治療薬がないため、様々な基礎的研究や臨床研究が行われているところですが、新薬の治療メカニズムを解明し、今後、変化のある遺伝子に注目して薬剤の開発を進めていけば、さらに効果的な治療法、治療薬を生み出すことができるものと期待されます。
岡山大学脳神経外科の脳腫瘍研究グループは、難治性脳腫瘍である悪性グリオーマに対する薬として、現在開発段階のシレンジタイドという薬剤の抗腫瘍薬のメカニズムを遺伝子レベルで解明しました。
細胞接着因子であるインテグリンは、癌の増殖、血管新生や浸潤に関係するといわれています。シレンジタイドはこのインテグリン分子に対する分子標的薬であり、現在、悪性グリオーマに対して世界規模の臨床試験が行われているところです。今回、悪性グリオーマ細胞をシレンジタイドで処理したところ、グリオーマ細胞における殺細胞効果を認めました。さらに、そのシレンジタイドで処理した悪性グリオーマ細胞を使って、世界で初めてDNAマイクロアレイ解析を行ったところアポトーシスに関連する遺伝子群の発現が変化していることがわかりました。
その中でもカスペース8というアポトーシス関連遺伝子の変化がわかり、細胞実験、動物実験においても、このカスペース8遺伝子の発現の変化を確認することができました。
<見込まれる成果>
現在、悪性グリオーマを完治させるための治療薬がないため、様々な基礎的研究や臨床研究が行われているところですが、新薬の治療メカニズムを解明し、今後、変化のある遺伝子に注目して薬剤の開発を進めていけば、さらに効果的な治療法、治療薬を生み出すことができるものと期待されます。
<補 足>
現在、悪性グリオーマの特徴としては、増殖スピードが速い、血管新生が起こる、正常脳に浸潤しやすいこと、などがあげられます。近年、悪性グリオーマの治療薬として、さまざまな新規分子標的薬があり、臨床試験段階でありますが、このシレンジタイドもその中の一つです。シレンジタイドは、殺細胞効果、抗血管新生効果、抗浸潤効果、他の治療との併用効果など多様な効果があるといわれていますが、今回の解析では殺細胞効果についてのメカニズムが解明されました。
当研究室は、脳腫瘍に対する基礎的研究として腫瘍溶解ウイルス療法やがん抑制タンパクなどの研究を行ってきましたが、現在は、それらとこの新規分子標的薬シレンジタイドとの併用療法についての実験を行っています。
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<お問い合わせ>
岡山大学病院脳神経外科 講師
(氏名)黒住和彦
(電話番号)086-235-7336
(FAX番号)086-227-0191