地球形成期におけるコアの軽元素の謎に迫る — 鉄へ溶け込む水素を中性子でその場観察 —
2017年01月13日
地球の中心核(コア)は主成分である鉄に軽元素が溶け込んだものと考えられおり、どんな軽元素がどの程度存在するのかという疑問に対して、これまで数多くの実験的研究がなされてきました。有力候補の1つである水素は、高圧下でしか有意に鉄に溶け込まないこと、X線など従来の実験法では直接観察できないことなどから、その振る舞いはまだよく分かっていませんでした。東京大学大学院理学系研究科の飯塚理子 特任助教、八木健彦 特任研究員・名誉教授、東京大学物性研究所の後藤弘匡 技術専門職員らは、岡山大学惑星物質研究所の奥地 拓生 准教授と日本原子力研究開発機構J-PARCセンターとの共同研究で、水素の振る舞いを直接観察できる超高圧中性子回折装置PLANETを用いて、地球生成初期に集積した物質をモデル化した試料で高温高圧実験を行い、高圧下で温度が上昇し含水鉱物の脱水が起きると、固体のままの鉄に水素が溶け込むことを明らかにしました。このことから、水素が最初に固体の鉄に溶け込み、その後に核−マントル分離や他の軽元素の溶融鉄への溶解が起きた可能性が高いことが示唆されました。
なお、本研究成果は1月13日、科学雑誌「Nature Communications」に掲載されました。
なお、本研究成果は1月13日、科学雑誌「Nature Communications」に掲載されました。
<詳しい研究内容について>
地球形成期におけるコアの軽元素の謎に迫る — 鉄へ溶け込む水素を中性子でその場観察 —
東京大学HP
http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2017/5210/
<お問い合わせ>
岡山大学広報・情報戦略室
TEL:086-251-7292