還元型コエンザイムQ10の塗布で歯茎を若く保つ
2013年06月17日
本学大学院医歯薬学総合研究科の森田学教授(予防歯科学分野)の研究グループが、抗酸化物質の一つである還元型コエンザイムQ10(rCoQ10)を歯茎に塗布することで、歯茎の加齢変化を抑制することを突き止めました。本研究成果は2013年5月21日に米国の歯学系科学雑誌『Journal of Dental Research』の電子版に掲載されました。
酸化ストレスの増加は、加齢を促進させます。本研究は、rCoQ10を歯茎に塗布することにより歯茎の抗酸化力を高め、歯茎の加齢変化を抑制するのに効果的であることを示唆しており、今後歯茎のアンチエイジングへの臨床応用が期待されます。
<業 績>酸化ストレスの増加は、加齢を促進させます。本研究は、rCoQ10を歯茎に塗布することにより歯茎の抗酸化力を高め、歯茎の加齢変化を抑制するのに効果的であることを示唆しており、今後歯茎のアンチエイジングへの臨床応用が期待されます。
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野の森田学教授、東哲司助教、粕山健太大学院生、町田達哉大学院生、米田俊樹大学院生、岡山大学病院予防歯科の友藤孝明講師、江國大輔講師、遠藤康正医員らの研究グループは、ラットを2つの群に分け、1つの群にはrCoQ10を含んだ軟膏をラットの歯茎に塗布し、別の群にはrCoQ10を含まない軟膏を2ヵ月間塗布しました。
その結果、rCoQ10を塗布したラットでは、rCoQ10を塗布していないラットと比べて、歯茎の酸化ストレスが抑えられていました。
また、歯茎において骨吸収を促進させる細胞もrCoQ10を塗布したラットの方が、与えなかったラットよりも少なくなっていることが確認されました。
多くの研究から、骨吸収を含む加齢変化には、酸化ストレスが関わることが知られています。本研究は、rCoQ10を歯茎に塗布することで、酸化ストレスが抑制され、その結果として加齢に伴う骨吸収が抑えられる可能性を示唆しています。
<見込まれる成果>
今回の結果から、rCoQ10の抗酸化作用が加齢に伴う歯茎の骨吸収を抑制する可能性が示唆されました。このことから、rCoQ10を口腔ケア用品に応用することで歯茎のアンチエイジングを行い、口腔内の健康の維持・増進に寄与することが期待されます。
<補 足>
コエンザイムQ10はビタミン様で親油性分子であり、その還元型は抗酸化作用があることが知られています。過去の研究では、皮膚における抗加齢効果も報告されています。
本研究は、独立行政法人日本学術振興会(JSPS)科研費(課題番号:24593153)の助成を受け実施しました。
発表論文はこちらからご確認いただけます
発表論文:Yoneda T, Tomofuji T, Ekuni D, Azuma T, Endo Y, Kasuyama K, Machida T, Morita M. Anti-aging Effects of Co-enzyme Q10 on Periodontal Tissues. J Dent Res, 2013 May 21.(doi: 10.1177/0022034513490959)
報道発表資料はこちらをご覧ください
<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 教授
森田 学
(電話番号)086-235-6712
(FAX番号)086-236-6714
(URL)http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~preventive_dentistry/top.html