カーボンナノチューブを有機色素で染めて使う新しい光触媒技術を開発
2018年03月22日
岡山大学大学院環境生命科学研究科(環)の高口豊准教授、田嶋智之講師、村上範武大学院生と山口大学大学院創成科学研究科の三宅秀明助教らの共同研究グループは、カーボンナノチューブの内部空間に色素分子を封じ込めることで、光照射下において、色素増感水分解反応による水素製造が可能になることを世界で初めて確認しました。また、通常の光触媒[1]では利用困難な赤色光(波長650 nm)照射下で水分解水素生成反応の活性を比較したところ、染色したカーボンナノチューブ光触媒の量子収率(1.4%)は、色素分子をもたないカーボンナノチューブ光触媒の量子収率(0.011%)に比べて、活性が120倍になることも確認されました。本研究成果は3月5日米国化学会雑誌「Journal of American Chemical Society」誌で公開されました。
これは、カーボンナノチューブを有機色素で染めることで、カーボンナノチューブ光触媒の活性波長が制御できることを示しています。これまでに例のない活性波長制御法として、太陽光と光触媒を利用した水分解によるCO2フリー水素製造法(人工光合成)の鍵技術となることで、本学が取り組んでいる国連の「SDGs(持続可能な開発目標)」の達成に貢献することが期待されます。
<論文情報等>論文名:Enhanced Photosensitized Hydrogen Production by Encapsulation of Ferrocenyl Dyes into Single-Walled Carbon Nanotubesこれは、カーボンナノチューブを有機色素で染めることで、カーボンナノチューブ光触媒の活性波長が制御できることを示しています。これまでに例のない活性波長制御法として、太陽光と光触媒を利用した水分解によるCO2フリー水素製造法(人工光合成)の鍵技術となることで、本学が取り組んでいる国連の「SDGs(持続可能な開発目標)」の達成に貢献することが期待されます。
「カーボンナノチューブへの色素内包による光水素製造促進効果」掲載誌:Journal of American Chemical Society著 者:Noritake Murakami, Hideaki Miyake, Tomoyuki Tajima, Kakeru Nishikawa, Ryutaro Hirayama, and Yutaka TakaguchiDOI: 10.1021/jacs.7b12845
発表論文はこちらからご覧いただけます。
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/jacs.7b12845
<詳しい研究内容について>
カーボンナノチューブを有機色素で染めて使う新しい光触媒技術を開発
<お問い合わせ>
岡山大学大学院環境生命科学研究科(環)
准教授 高口 豊(山口大学客員教授)
(電話番号)086-251-8903
(FAX番号)086-251-8903
山口大学大学院創成科学研究科
助教 三宅 秀明