国立大学法人 岡山大学

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LGBTの子どもはライフプランを持つことができるのか?「ライフプランを考えるあなたへ -まんがで読む- 未来への選択肢(拡大版)」を作成

2019年05月23日

 岡山大学大学院保健学研究科では、中学・高校生に、卵子の老化など「年齢と妊娠しやすさとの関連」「体外受精などの不妊治療の実際」を知り、後悔しないライフプランを考えてもらうため、岡山県からの受託事業で、2015年、妊孕性の啓発のための教材「ライフプランを考えるあなたへ -まんがで読む- 未来への選択肢」(緑の表紙)を作成しました。
 しかし、そのような中学・高校生の約8%は、LGBT(L:レズビアン、G:ゲイ、B:バイセクシュアル、T:トランスジェンダー)の子どもとされます。海外では、トランスジェンダー(身体は女性、心は男性)の子どもが将来の妊娠に向けて、ホルモン療法の前に卵子を凍結保存した例もあります。
 日本においても、2015年の文部科学省の通知以降、LGBTの子どもたちへの支援が始まりました。しかし、不登校、自殺未遂、うつなどを防止するための対応に終始しており、LGBTの子どもたちが、自身の将来のことを考えて、仕事をしながら結婚したり、子どもを持ったりというようなライフプランを考えることまではできていない状況です。また、2018年夏の「LGBTは生産性がない」という雑誌記事に見られるように、誤った情報に子どもたちは晒されています。
 今回、私たちは、LGBTの子どもたちのために、「ライフプランを考えるあなたへ -まんがで読む- 未来への選択肢(拡大版)」(クリーム色の表紙)を作成しました。LGBTの子どもにとって、自身の将来像を考えることができれば、学校における最大の支援のひとつになると思います。
 拡大版では、従来版では述べられなかった「性の多様性と家族形成」についても加えました。LGBTの子どもにとって、今、目の前の問題を解決することも重要ですが、将来のライフプランを考えることができることも必要です。さらに多くの人々が手に取ってくれることを願います。

◆研究者からのひとこと

 岡山大学ジェンダークリニックで性同一性障害の方々の診療を行っています。2018年度は、岡山市の男女共同参画委員会の委員長として「性の多様性」を認める条例づくりにも取り組みました。
 GID(性同一性障害)学会理事長として、性同一性障害当事者の戸籍の性別変更のための特例法の改正、性同一性障害のホルモン療法の保険適用などの課題解決に向かって活動中です。その中には「LGBT当事者の家族形成」への支援があります。
岡山大学大学院保健学研究科 研究科長
岡山県不妊専門相談センター「不妊・不育とこころの相談室」 センター長
岡山大学病院リプロダクションセンター センター長
岡山大学生殖補助医療技術教育研究(ART)センター 教授
中塚幹也



<詳しい研究内容について>
LGBTの子どもはライフプランを持つことができるのか?「ライフプランを考えるあなたへ-まんがで読む-未来への選択肢(拡大版)」を作成

<お問い合わせ>
岡山大学大学院保健学研究科 中塚研究室
教授 中塚幹也
(電話番号)086-235-6538(FAX兼)

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