◆発表のポイント
- 受動喫煙の曝露がある子供の歯(乳歯)はむし歯になりやすいことが明らかになっています。
- しかしながら、大人の歯(永久歯)が生えそろった若者を対象とし、家庭での長期間の受動喫煙の曝露に注目した調査はほとんどありませんでした。
- 今回の調査で、家庭での受動喫煙の曝露が10年以上の大学生は、曝露がない者と比較して1.5倍むし歯になりやすいことが明らかになりました。
岡山大学病院予防歯科の佐保輝医員、同大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野の森田学教授、同大学保健管理センターの岩﨑良章教授らの共同研究グループは、家庭での受動喫煙の曝露期間が10年以上の大学生は家庭での受動喫煙の曝露がない大学生と比較して、1.5倍むし歯になりやすいことを明らかにしました。この研究成果は11月20日、スイスの学術雑誌「International Journal of Environmental Research and Public Health」に掲載されました。
2018年に健康増進法が改正され、2020年4月から多くの施設で屋内原則禁煙となり、20歳未満の者の喫煙エリアへの立入が禁止されるようになっています。しかしながら、家庭における受動喫煙の曝露は制御困難です。この調査は家庭での禁煙を推進することの意義を強調するものになりました。
◆研究者からのひとこと
たばこは喫煙者の健康を奪うだけでなく、周囲の人の健康も奪います。現在喫煙中の方は禁煙に向かって、そうでない方もどのようにしたら受動喫煙曝露のリスクを減らせるか、今一度考えてみませんか? | 佐保医員 |
■論文情報
論 文 名:Association between Household Exposure to Secondhand Smoke and Dental Caries among Japanese Young Adults: A Cross-Sectional Study
掲 載 紙:International Journal of Environmental Research and Public Health
著 者:Saho H, Taniguchi-Tabata A, Ekuni D, Yokoi A, Kataoka K, Fukuhara D, Toyama N, Islam MM, Sawada N, Nakashima Y, Nakahara M, Deguchi J, Uchida-Fukuhara Y, Yoneda T, Iwasaki Y, Morita M.
D O I:10.3390/ijerph17228623.
<詳しい研究内容について>
家庭で10年以上受動喫煙にさらされた若者はむし歯になりやすい!
<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(歯)
教授 森田 学
(電話番号)086-235-6712 (FAX)086-235-6714