岡山大学が開発した早期胃癌AI診断システムの有用性
2021年11月04日
◆発表のポイント
- 岡山大学、両備システムズが共同開発した早期胃癌AI診断システムの有用性を報告しました。
- 早期胃癌の深達度診断は治療法を決定する上で重要ですが、個々の医師の経験に基づいて行われており、診断能は医師によりバラツキがあります。
- 我々の開発したシステムは本研究により優れた診断精度が示され、今後より確実な治療法の選択に寄与できると思われます。
岡山大学学術研究院医歯薬学域の河原祥朗教授、濱田健太助教(実践地域内視鏡学)、ヘルスシステム統合科学学域の相田敏明講師、株式会社両備システムズの研究グループは人工知能(AI)を用いた早期胃癌の内視鏡診断システムを開発し、その有用性を検討しました。
早期胃癌の治療法には胃を温存できる内視鏡治療(ESD)と胃切除が必要な外科的治療があります。その選択には病変の正確な深達度診断が必要ですが施行医が画像を見て経験に基づいて診断を行っているのが実情です。個々の医師によりその診断能にはバラツキがあり、本来の適応でない治療法が選択されることも起こっています。本システムを早期胃癌患者200例で検討したところ、深達度診断において約80%の正診率が得られました。今後このシステムを用いることで、その診断能の均一化、正診率の向上、確実な治療法の選択が期待されます。
◆研究者からのひとこと
医療分野においても人工知能の応用は非常にホットな話題であり、多くの研究機関において開発競争がなされています。世界でも有数の内視鏡治療症例数を誇る岡山大学病院のデータを使って開発した人工知能システムの有用性が証明されたことで、日本のみならず世界の内視鏡診断に変革をもたらすものと期待しています。 | 河原教授 |
■論文情報
論 文 名: Application of convolutional neural networks for evaluating the depth of invasion of early gastric cancer based on endoscopic images
掲 載 紙: Journal of gastroenterology and hepatology
著 者: Kenta Hamada, Yoshiro Kawahara, Takayoshi Tanimoto, Akimitsu Ohto, Akira Toda, Toshiaki Aida, Yasushi Yamasaki, Tatsuhiro Gotoda, Taiji Ogawa, Makoto Abe, Shotaro Okanoue, Kensuke Takei, Satoru Kikuchi, Shinji Kuroda, Toshiyoshi Fujiwara, Hiroyuki Okada
U R L: http://onlinelibrary.wiley.com/journal/10.1111/(ISSN)1440-1746
<詳しい研究内容について>
岡山大学が開発した早期胃癌AI診断システムの有用性
<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医歯薬学域
実践地域内視鏡学講座
教授 河原 祥朗
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