国立大学法人 岡山大学

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馬建鋒教授(資源植物研)が地球の持続性に関する研究を奨励する国際的な表彰「第1回Frontiers Planet Prize」を受賞

2023年05月08日

 4月27日、本学資源植物科学研究所植物ストレス学グループの馬建鋒教授がスイスのモントルーで開催された「第1回Frontiers Planet Prize」の授与式に、招待を受けた那須保友学長らとともに参加。地球規模の持続可能性研究の第一人者でもある環境学者ヨハン・ロックストローム(Johan Rockström)審査委員長から、受賞メダルを授与されました。
 本賞は、地球の持続性に関する研究を奨励することを目的にFrontiers研究財団※1によって、2022年に創設されたもので、過去2年間において世界で発表された関連論文から選ばれる賞です。今回は、世界各国のおよそ240の大学・研究機関から推薦された論文を100人の審査員によって審査し、最終的に20人のNational Championが選出されました。さらにそこから4人のInternational Championが選出されました。馬教授はわが国のNational Championに選ばれました。
 馬教授は、日本学術振興会科学研究費補助金の特別推進研究及び基盤研究Sの助成を受けて実施し、2022年にNature Foodに論文発表した「Duplication of a manganese/cadmium transporter gene reduces cadmium accumulation in rice grain」※2が高く評価され、今回の受賞となりました。
 本研究で馬教授はカドミウムに注目。カドミウムはイタイイタイ病などを引き起こす有毒の重金属です。現在でも都市化や工業化によって世界の多くの土壌がカドミウムに汚染され、基準値を超える作物が生産されており、私たちの健康を脅かしています。私たちが摂取するカドミウムの半分近くはコメに由来することから、コメのカドミウムを低減させることは健康のために非常に重要な課題です。今回の研究では、イネのカドミウム集積の品種間差を利用してカドミウムの低集積に関わる遺伝子を突き止めました。また、この遺伝子を繰り返し交配でコシヒカリに導入した結果、収量と食味に影響せず、カドミウム集積が大きく低下したイネができました。この研究成果は、今後世界の安全なコメの生産に寄与すると思われます。
 今回の受賞を受けて馬教授は「今回は思いもよらず第1回Frontiers Planet Prizeを受賞することができ、大変光栄で、嬉しく思います。この研究は10年以上の月日がかかり、最近になってやっとイネのカドミウム低集積メカニズムの謎を解くことができました。多くの共同研究者のご協力に感謝し、この発見が今後カドミウムの少ない安全なイネ品種の育種に役立つことを心待ちにしております」とコメント。また、授与式に参列した那須学長からは「人類の叡智を集め、温暖化や食料問題など地球の将来に関する課題を解決していこうとする世界の研究者が一堂に会し、議論をしていこうとする会議において、馬教授が日本代表として選出されたことは大変喜ばしいことです。岡山大学は「地球と生態系の健康(Planetary Health)」の実現に向け「岡山大学長期ビジョン2050:地域と地球の未来を共創し、世界の革新に寄与する研究大学」を新たに掲げており、地域・世界の多様なステークホルダーとの新たなつながりを深めています。まさにその取り組みが評価されたものと思います」とコメントしました。
 今後も地域中核・特色ある研究大学である岡山大学は、岡山の地域から世界に向けて、地球と生態系の健康(Planetary Health)の実現に資する研究・イノベーション創出を精力的に行っていきます。

※1 財団の母体となるFrontiersは、2007年に設立されたオープンアクセルジャーナルの出版社であり、現在世界の出版業界において規模では6番目、引用回数では3番目の位置にある団体です。
※2 イネのカドミウム集積を抑制する遺伝子の同定により、収量と食味に影響しない低カドミウム集積イネの育成に成功!(岡山大学プレスリリース 2022年8月19日)

【本件問い合わせ先】
岡山大学資源植物科学研究所 教授 馬 建鋒
TEL & FAX:086-434-1209
E-mail:maj◎rib.okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
http://www.rib.okayama-u.ac.jp/plant.stress/index-j.html

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