本学総合技術部は、技術職員の「高度専門人材養成」の強化促進を目指し、東京工業大学のTCカレッジのサテライト校として、今年度から試行として「TCカレッジ医工系コース」を開講しています。2月9日、本コースの中級カリキュラム「生物系透過型電子顕微鏡(基礎)TEM※1」を本学鹿田キャンパスの医学部共同実験室で実施しました。
電子顕微鏡関連カリキュラムは、昨年12月9日に実施した「生物系走査型電子顕微鏡(基礎) SEM※2」に続き、今回も協力企業である株式会社日立ハイテクのコアテクノロジー&ソリューション事業統括本部CTシステム製品本部CTソリューション開発部ナノ構造解析グループの和久井亜希子技師が講師として来学しました。
午前は「TEMの原理・構造・観察条件・最新機種について」と題して、TEMの原理や鏡体内部の電子銃部やレンズ系、デジタルカメラ等の構造、観察条件など、基礎的な知識についての講義。午後は共同実験室に設置している電子顕微鏡「HITACHI H-7650」を使用して、日常の観察で必要な軸調整や絞りの選択、フォーカス調整などについての実習が行われました。講義・実習ともに活発な質疑応答も行なわれ、TCカレッジ医工系コース試行期間のカリキュラムの集大成となりました。
受講生である楢崎正博技術専門職員は「透過型電子顕微鏡の原理・構造を学ぶことで、どのような機構をとおり、試料を透過した電子が結像し、高解像度・高倍率の画像を観察撮影できるのかをあらためて理解することができました。また調整不良の像が見られた際、適正に戻すための知識・技術を得ることもできました」とコメント。塚野萌美技術職員は「私自身が日常的に使用する機器についてのカリキュラムで、聞き馴染みのある用語も多く出てきておりました。医工系コースでは中級カリキュラムのテーマの一つに『基礎知識・技術の学び直し』を掲げており、これまで参考書や外部セミナーで学んできたことの再確認や理解を深める機会となりました」とコメント。
今回のカリキュラムについて、総合技術本部長を務める佐藤法仁副理事・副学長・URAは「今回も多忙な業務の中、講師をお引き受けいただいた日立ハイテクの方々に厚く御礼を申し上げます。TEM、SEMともに、研究に従事する者ならばそう目新しい機器ではないですが、それゆえに過去に学んだ知識をアップデートする機会も少ないかもしれません。今回のカリキュラムはアップデートという点だけではなく、キャリアを積み重ねた今だからこそ発見できる新たな知見等もあったと思います。今後も総合技術部は、全学の技術職員の連携を深めるとともに、多様な研修プログラムを通して技術職員のスキルアップを図ることにより、岡山大学の研究・教育・臨床活動のパートナーとして取り組みの強化を推進していきます」とコメントしました。
本学では、2022年度より東京工業大学が事務局を行っている高度技術職員養成の取り組みである「TCカレッジ」に参画しており、大学における技術職員の高度専門人材養成等を協働で目指しています。本年度からは、本学はサテライト校として「医工系コース」を試行として学内開講しており、強みある分野を生かした取り組みを戦略的に推進しています。
今後も「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS) 」採択大学であり、地域と地球の未来を共創し、社会変革を実現させる研究大学:岡山大学の絶え間ない変化と挑戦と、それを担う技術職員の活動にどうぞご期待ください。
※1 TEM:Transmission Electron Microscope = 透過型電子顕微鏡
※2 SEM:Scanning Electron Microscope = 走査型電子顕微鏡
<参考>
・TCカレッジ岡山大学サテライト校「医工系コース」開講 ~技術職員の「高度専門人材養成」を強化促進~
・TCカレッジ岡山大学サテライト校医工系コース中級カリキュラム「生物系走査型電子顕微鏡(基礎) 」を実施
・文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS) 」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
【本件問い合わせ】
岡山大学総合技術部 医学系技術課(医工系コース コース担当)阿部匡史
TEL:086-235-7125
E-mail:tabe◎md.okayama-u.ac.jp
※◎を@に置き換えてください。
HP:岡山大学総合技術部
TCカレッジ岡山大学サテライト校 医工系コース 中級カリキュラム「生物系透過型電子顕微鏡(基礎)」を実施
2024年02月29日