国立大学法人 岡山大学

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SPring-8-岡山大学利用連携Workshopを開催~世界最高性能の大型放射光施設SPring-8の利用が身近に、そして研究力・イノベーション共創強化へ~

2024年09月05日

 本学は7月24日、SPring-8-岡山大学利用連携Workshop「大型放射光施設SPring-8を利用してみませんか?」を本学津島キャンパスの創立五十周年記念館で開催しました。本学のみならず多くの国立・私立大学や研究所、企業より、対面とオンライン合わせて111人が参加しました。
 本ワークショップは、理化学研究所放射光科学研究センター(兵庫県佐用町)にある大型放射光施設SPring-8(運用機関:JASRI)を初めて利用する教職員や企業などの方々を対象に、SPring-8の概要および実際の装置利用例についての紹介や、SPring-8利用に関する本学のサポートサービスについての説明を行うことを目的に開催しました。
 ワークショップの前半では、SPring-8を少しでも身近に感じて利用できるよう、本学研究・イノベーション共創機構機器共用推進本部の堀金和正サイテックコーディネーターが、本学が始める利用分析サポートサービスについて紹介しました。同サポートサービスは、SPring-8を運用する公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)と連携することにより、利用者のニーズに合わせて依頼内容のコンサルティング、装置利用申請、測定・解析までを岡山大学がサポートするサービスで、SPring-8利用に不安がある場合などに本サポートサービスを受けることができます。
 また、本学と連携しているJASRIの筒井智嗣コーディネーターが「SPring-8の装置紹介」と題して講演。SPring-8の概要とさまざまな利用例として、SPring-8での放射光と実験室光源の違いや放射光の特徴、放射光を用いた主な分析手法であるイメージングやX線吸収微細構造解析(XAFS)、X線回折、小角散乱の原理と分析例などを紹介しました。
 ワークショップの後半ではSPring-8での実際の利用例として、さまざまな専門分野の3人の研究者らが発表しました。本学異分野基礎科学研究所の横谷尚睦教授が「SPring-8の装置利用例」として、機能性材料の光電子分光を用いた電子状態・化学状態解析について紹介。SPring-8の放射光の特徴として高輝度であることが挙げられますが、その特徴を利用して物質に置換されたわずかな元素を捉え、かつ置換元素の化学状態や置換されるサイトを光電子ホログラフィーの相補利用することにより解明できることを報告しました。
 また、岡山市立オリエント美術館の四角隆二学芸員が「イラン鉄器時代以降期のバイメタル剣制作技術の解明」と題し、高分解能X線CTを利用した研究について報告。青銅製の長剣の柄部に鉄芯が埋め込まれているバイメタル剣は紀元前10~9世紀のイラン北西部に特徴的に見られる型式の長剣にのみ確認されており、何のために鉄芯が埋め込まれたのか、どのようにして埋め込んだのか、詳細は霧に包まれていました。そのバイメタル剣の内部構造を明らかにするために非破壊かつ30mm程度の柄の内部構造を、200keVにもおよぶ高エネルギーX線を利用したX線CTを利用することで、イランにおける鉄器普及の流れを発表しました。
 さらに、株式会社本田技術研究所の池田知廣チーフエンジニアが、Honda社における放射光の取り組みのきっかけと活用指針について企業視点から登壇。分析・解析を行う必要性を感じ、その手段の一つとして放射光(SPring-8等)を利用するまでを発表しました。
 最後に、分析依頼者と測定・分析者との連携の形として、これまでのような依頼された分析をルーティンのように行う連携ではなく、お互いが有機的に分析や測定に関して議論できるような連携の形等の意見交換を行いました。また、閉会後は個別の利用相談も実施しました。
 本学は、機器設備等の効率・効果的な共用を進める「コアファシリティ構想」の実現に向け、JASRIと包括連携協定を2023年9月に締結しており、その一環としてSPring-8の利用促進をおこない、イノベーション創出の強化を目指しています。「SPring-8」、「放射光」というと利用したことがない方にとっては縁遠い存在かもしれません。しかし、SPring-8は物質科学から生命科学、医学・産業と広範な分野で基礎研究から応用研究まで利用されている放射光施設であり、国内外、数多くの産官学の研究者が利用しています。今後もSPring-8(JASRI)との連携イベントを定期的に実施する予定です。
 本学は、昨年12月22日に文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」(実施主体:日本学術振興会)に採択されており、J-PEAKS事業の取り組みの一つとして「イノベーション創出の知と技のメッカとなる」ことを目指しています。この取り組みを通じて研究基盤を整備し我が国の研究力向上・イノベーション創出を図ります。引き続き、岡山大学長期ビジョン2050「地域と地球の未来を共創し、世界の革新に寄与する研究大学」の実現を担う価値ある存在となる取り組みを、全学を挙げて戦略的に推進します。ぜひ本学の今後の活躍にご期待ください。


【本件問い合わせ先】
研究・イノベーション共創機構 機器共用推進本部
TEL:086-251-8486
E-mail:corefacility◎adm.okayama-u.ac.jp
    ※@を◎に置き換えています。
岡山大学研究推進機構HP

【岡山大学SPring-8サポートサービスやご利用に関する問い合わせ先】
研究・イノベーション共創機構 機器共用推進本部
(担当者:サイテックコーディネーター 堀金和正)
TEL:086-251-8743
E-mail:sp8-renkei◎okayama-u.ac.jp
    ※@を◎に置き換えています。

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