本学技術統括監理本部を構成する組織のひとつである総合技術部は、8月28日、「第83回医学系技術課鹿田研修会」を本学鹿田キャンパスの基礎医学棟で、対面とオンライン聴講のハイブリッド形式で開催しました。
同研修会は、「岡山大学総合技術部医学系技術課」の前身である医学部技術部が1994年から年3回程度開催しており、30年の歴史と82回の開催実績を有しています。83回目の今回からは「医学系技術課鹿田研修会」に改称し、初めての開催となりました。
また、医療系キャンパスである鹿田地区で開催することと、医学系技術課であること、さらには臨床研究における最新情報に関する内容と要望も数多くあることなどから、研修会対象者を技術職員に限定せず、本学全教職員に広く門戸を開き、技術職員をはじめ、教員、事務職員、病院関係者、大学院生など56人の参加がありました。
会の冒頭、総合技術部本部長の佐藤法仁副理事・副学長・上級URAから「最新医療に関するトピックスやテクノロジーを、第一線で活躍している講師先生よりお聞きすることで、技術職員に限らず、本学全職員の技能・知見を増やしていただきたい。そして日々の研究活動や業務などに生かしていただき、地域中核・特色ある研究大学:岡山大学を盛り上げていきたい」とあいさつがあり、今後の本学職員らの活躍への期待を述べました。
続いて、基調講演「筋萎縮性側索硬化症(ALS)の最新トピックス」と題して、本学学術研究院医歯薬学域(医)脳神経内科学講座の山下徹准教授が登壇。筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、脳や脊髄の神経が変性・消失することにより、脳から出る筋肉を動かすための命令が伝わらなくなり、結果として筋肉が萎縮し、徐々に身体が動かなくなる難病である点、さらには進行性であり、人工呼吸器を用いなければ、通常は4~5年で死亡することが多く、いまだに根本的な治療法は確立されていない神経難病の一つであることなどを分かりやすく解説しました。また、多くの神経変性疾患は、脳や脊髄への異常タンパクの蓄積が影響していること、これらの治療法についても解説。さらには山下准教授の取り組みである多能性幹細胞の一つであるMuse細胞を用いた治療法の研究で大きな成果を上げた点など、本細胞を用いた基礎研究から臨床研究に至るまでの経緯、現在行われている治療などを詳しく解説し、参加者らの興味関心をひきつけました。
講演後の質疑応答では、参加者からALSにより脊髄神経における知覚神経と運動神経への影響や、予防策はあるのかどうか、人の治験について、早期治療・発見のためのマーカーについてなど、多数の質問が寄せられ、とても活発な情報交換を行うことができ、今後の技術職員らの活動にもつながる大変有意義な研修会となりました。
本学総合技術部は、全学の技術職員の連携を深めるとともに、多様な研修プログラムを通して技術職員のスキルアップを図ることにより、地域中核・特色ある研究大学:岡山大学の研究・教育・臨床活動などのパートナーとして取り組みの強化を推進していきます。また本学では、2022年度より東京工業大学が事務局を行っている高度技術職員養成の取り組みである「TCカレッジ」に参画しており、大学における技術職員の高度専門人材養成等を協働で実施しています。本年度からは、本学はサテライト校として「医工系コース」を試行として学内開講しており、強みある分野を生かした取り組みを戦略的に推進しています。今後も「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS) 」の採択大学であり、地域と地球の未来を共創し、社会変革を実現させる研究大学:岡山大学の絶え間ない変化と挑戦と、それを担う技術職員の活動にどうぞご期待ください。
<参考:過去の(旧)医学部技術部研修会>
・医学系技術職員の資質・能力向上を目指して「第81回(旧) 医学部技術部研修会」を開催
・言語AIに大学職員としてどう向き合うか? 技術職員の知識・技術力向上を目指し「第82回(旧)医学部技術部研修会」を開催
<参考>
・研究基盤EXPO 2024及び本学主催シンポジウム「チーム共用による技術職員組織構築の過去・現在・未来」
・TCカレッジ岡山大学サテライト校「医工系コース」開講 ~技術職員の「高度専門人材養成」を強化促進~
・TCカレッジ岡山大学サテライト校医工系コース中級カリキュラム「生物系走査型電子顕微鏡(基礎) 」を実施
・研究現場の生の声を聞き技術職員のスキルアップを図るTCカレッジ「医工系コース」での研究室見学を実施
・研究現場の生の声を聞き技術職員のスキルアップを図るTCカレッジ「医工系コース」での鹿田キャンパス研究室見学(第2弾) を実施
・文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS) 」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
【本件問い合わせ先】
岡山大学総合技術部医学系技術課 鹿田研修会
E-mail:shikatakensyu◎okayama-u.ac.jp
※◎を@に置き換えてください。
総合技術部「第83回医学系技術課鹿田研修会」を開催~最新医療研究トピックスを学ぶことで技術職員の技能・知見の強化促進を図る~
2024年09月11日