本学は9月11日、社会変革を劇的に起こす取り組みなどを産学官で推進している国家戦略特区において、参画している大学群がビジョンを共有し、今後の協働や好事例の横展開等を推進する共生型連合体のキックオフミーティングを都内で現地・オンラインのハイブリッドで開催し、現地参加26人、オンライン参加22人の計48人が参加しました。
共生型連合体は、国家戦略特区の中でスーパーシティ国家戦略特区とデジタル田園健康特区における関係大学が連携して設立された枠組みであり、本学をはじめ筑波大学、山梨大学、大阪大学が構成機関として参加しています。
共生型連合体では、地域における住民個々人を中心に置き、持続可能な共生社会等を構築することを目指し、各大学の知見や技術などを共有し、特区における取り組みを生かしながら、社会課題の解決やイノベーションの創出などに向けたさまざまな社会変革を展開しています。
今回のキックオフミーティングは、これまで個々でつながっていた関係者が一堂に会し、全体共有を図るとともにビジョンの共有や連携強化、今後の活動拡大に向けた共有の場として開催されました。
冒頭、本学の那須保友学長から、共生型連合体の目指す方向性や役割などについて紹介。「共生型連合体の活動を通じて、大学を変え、地域を変え、社会を変えていきたいと考えています。これは大学のためだけではなく、地域や社会のためにという視点を決して忘れてはいけないと思います。それぞれが抱える課題や好事例などを突き合わせることで、課題への糸口や好事例の横展開方策などを活性化させ、盛り上げていきたいと思います。ぜひ皆さんとともに前に進めていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます」と、意気込みを含めて述べました。
続いて、3部構成として、まず第1部では本学の関係教員によるデジタル田園健康特区である吉備中央町での取り組みを中心として岡山大学病院産科・婦人科の牧尉太講師が救急車内でのエコー検査の映像伝送や共通診察券アプリ「きびアプリ」などの取り組みと目指す方向性について紹介。ステークホルダーらとともに積み重ねてきた吉備中央町での実績について報告するとともに、他の特区での規制改革を進めるための共生型連合体によるPHR(Personal Health Record)データ連携基盤の構築を提案しました。
第2部では、同じく岡山大学病院新医療研究開発センター(岡山大学研究・イノベーション共創機構医療系本部長)の櫻井淳教授から、社会変革を起こすためにまず組織・制度改革を実施した内容や共生型連合体参画機関とのこれまでの連携状況などについて説明。今後は研究者間のコラボレーションを促進する仕組みづくりや研究開発イノベーションマネジメント部門間における好事例や知見の共有などを着実に実施したい旨の紹介が行われました。
第3部では、本学副理事(DX・情報セキュリティ担当)・学術研究院環境生命自然科学域(工)の野上保之副理事・教授が、岡山県内を中心としてドローンによる林業DXやシニアカー・キックボードの研究開発・活用事例、そして岡山大学データサイエンス(DS)部における大学学生・教職員らを中心とした産学官連携活動の枠組みや実績、今後の目指す方向性などについて解説。さまざまな可能性を地域課題解決に生かしていくこと、今回の共生型連合体とも密に連携して、活動を活性化し好事例の横展開を深めるとともに、協働して人材育成・コミュニティ形成を進めていきたいと述べました。
次に、筑波大学システム情報系長の鈴木健嗣教授が登壇。つくば市における取り組みのビジョンからロボティクスやモビリティの実装実績やスタートアップの育成状況などについて紹介。さらにそれらを進めることができる共生型連合体でのデータ連携に期待などについて述べました。
続いて、大阪大学共創機構の井上隆弘機構長補佐・産学官連携オフィス長・教授と、山梨大学医学部救急集中治療医学講座・同大学病院救急部・集中治療部救急部の森口武史教授・部長・センター長が、共生型連合体でフォーカスしている規制改革や新医療技術開発、くらし改革の3点について連携していきたい点などについて、それぞれコメントしました。
意見交換では、オブザーバーとして参加した長野県茅野市DX企画幹でデジタル田園健康特区のリードアーキテクトである諏訪中央病院リウマチ・膠原病内科の須田万勢医長らも加わり、特区事業に住民の方々をどのように巻き込んでいくかなどについて白熱した議論が展開されました。
閉会にあたっては、本学の佐藤法仁副理事(研究・産学共創総括担当)・副学長(学事担当)・上級URAが、キックオフミーティングの総括とともに、「大学が社会変革を行う際、得てして研究者の技術などが中心となってしまうことがある。そうではなく絶えず中心は地域であり、住民であることを忘れず、いかにして地域・住民が変化を体感することができるのかを考えていく必要がある。この共生型連合体は、海外ではコレクティブインパクトの事例に似ているのかもしれないが、わが国では初の試みであり、きっと小さな失敗も数多くあると思うが、皆さんでポジティブにとらえ、力を合わせてその解決に取り組み、社会変革を進めていきたい」と、今後の共生型連合体への期待も込めてあいさつし、閉会しました。
今後、本学は、筑波大学、山梨大学、大阪大学との連携をより一層深めつつ、わが国初の試みである共生型連合体を通じた社会変革の推進に向け、挑戦を続けます。また本取り組みは、岡山大学長期ビジョン2050「地域と地球の未来を共創し、世界の革新に寄与する研究大学」の実現を目指し、昨年度に採択された文部科学省の「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」(実施主体:日本学術振興会)の取り組みにおいても重要なひとつの点として、全学を挙げて戦略的に実施しています。引き続き、地域中核・特色ある研究大学:岡山大学と共生型連合体の活躍にご期待ください。
〇那須保友学長のコメント
今回の共生型連合体の取り組みは、以前より各分野で協力体制を構築してきており、今回それらを集約し、一堂に会する場としてはじめて開催しました。既にご存じのことや初見のこと、そして初めでの出会いなどもあり、こういう「新結合」が新たな価値を生み出していくことを肌で感じました。
私たち大学は変わらなければいけません。それは私たち自身のためでもありますが、共生型連合体の場合は、地域やそこに住む住民の皆さんの豊かな生活、人生を過ごすためのより良い社会変革を創り出すために私たちが変わらなければいけないと考えています。誰のための、誰のために行うのかという視点を忘れずに、わが国初の試みである共生型連合体を進めていきたいと思います。
引き続き、筑波大学、山梨大学、大阪大学、そして本学の挑戦にご期待いただくとともに、同じビジョンのもとに共創・協働する共生型連合体の活性化を担っていただける皆さまの参画をお待ちしています。
【本件問い合わせ先】
岡山大学研究力・イノベーション創出強化実現会議
(担当窓口:研究・イノベーション共創管理統括部 研究協力課)
TEL:086-251-7115
E-mail:innovation◎adm.okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています
わが国初の試みである「共生型連合体」のキックオフミーティングを開催~国家戦略特区における大学群が協働して社会変革を推進へ~
2024年09月20日