本学と株式会社ストライプインターナショナルは、岡山から未来創造に向けた新たな学びの場・人材の創出を目指し、アントレプレナーシップ(起業家精神)とイントラプレナーシップ(改革者精神)を学ぶ「SiEEDプログラム」※1を本年度4月より開講しました。今回のSiEEDプログラムの開催に先立ち、世界・各分野で活躍するイノベーターと聴衆を交えた自由討議を通じ、新たなZeitgeist(時代精神)を語り合い、SiEEDのビジョン・コンセプトに触れるイベント「SiEED Conference 2019」を4月6日、創立五十周年記念館で開催しました。
オープニングでは本学の槇野博史学長が登壇。これまでの教育、研究、社会貢献における各分野で活躍して来た実績の中で、今後、さらに世界を「より良く変える」ことのできる人材を育てる必要性について紹介。これは世界が解決すべき課題に満ち溢れている点や国連が世界のあらゆる国や地域と共に推し進めている「持続可能な開発目標(SDGs)」において、大学などのアカデミアが果たす役割と責任が今以上に重要となっていく点にあることを説明。これまで培ってきたSDGs教育プログラムと今回のSiEEDプログラムを融合し、世界が抱える課題を解決し、パラダイムを変える「挑戦者」と「開拓者」を輩出し続ける意気込みについて熱く聴衆に語り掛けました。
今回のカンファレンスは3部構成で開催され、第1部では「シリコンバレーのスタートアップの今」をテーマに、Evernoteの元最高経営責任者(CEO)でAll Turtles創業者・CEOのフィル・リービン(Phil Libin)氏が登壇。自らの生い立ちの中で起業家に至った経緯や、これまでの経験から見えて来るビジョンなどについて、ビジネスの分野だけではなく、より広く世界を見渡した中から重要な点について聴衆に語り掛けました。モデレーターを務める大同門株式会社代表取締役社長でシルバーエッグ・テクノロジー株式会社共同創業者のフォーリー・淳子氏とのディスカッションでは、会場から寄せられた質問や意見などに対しても丁寧に返答しました。
第1部と第2部の間にはアートパフォーマンスとして、本学卒業生であり、「2018 Okayama Award」を受賞した音楽家の山地真美氏が登壇。情景描写ピアニストという新たな分野を切り開いてきた山地氏の映像と演奏を交えた幻想的で心に響く音色が会場に響き渡りました。また演奏後には、新たな挑戦を志す勇気と共にその一歩を踏み出すことで世界が大きく変わることの素晴らしさなどについて聴衆に語り掛けました。
第2部では、「思考の幅を広げる新たな挑戦」をテーマにバイオアーティストの福原志保氏と白馬インターナショナルスクール設立準備財団代表理事の草本朋子氏が登壇。モデレーターを務めるスクラムベンチャーズパートナーでSiEEDプログラムのエグゼクティブアドバイザーである外村仁氏と共に、社会の価値観や環境が急速に変化する中で、これまでの常識や既成概念に捉われることなく自由で楽しみながら新しい問題を解決していく実感を持つことの大切さや、柔軟な発想を源泉として絶えず新しい試みを行う思考と行動の重要性などについて語りました。
第3部では、「SiEED Programとは」をテーマに今回のSiEEDプログラムに至った経緯について、本学卒業生であり、株式会社ストライプインターナショナル代表取締役社長の石川康晴氏が、その想いをこれまでの起業家としての活動の歩みと共に紹介。また同社の新しいコーポレートメッセージ「いいこと、しようぜ。」に合わせて、服を売ることだけが仕事ではなく、絶えず新しいことや課題に挑戦し続け、社会へ新しい価値を生み出し続けること、その中でSiEEDプログラムが重要な役割を担っていることを聴衆に語り掛けました。SiEEDプログラムを始動させるためのワーキンググループ(WG)の座長を務めてきた那須保友理事(研究担当)・副学長は、WGでの取組と共に課題を自分事として捉え、如何に解決して行くのかという点をこれまでの自らの人生の歩みと共に紹介。解決するに至ったもの、まだ解決に至らず挑戦を続けているものなど、絶えず考える思考とそこから生み出された解決につながるであろう行動と挑戦し続ける大切さを聴衆に語り掛けました。ディスカッションでは、SVVI LLC日本代表でSiEEDプログラムのディレクターを務める山下哲也氏と、SiEEDプログラムのトライアル講義を受講した本学グローバル・ディスカバリー・プログラムの学生であるホアン・タン・トゥ(Hoang Thanh Tu)さんとパンディタ・スサムポン(Pandita Suthamporn)さんが石川社長と那須理事・副学長と共に登壇。SiEEDプログラムに対する各々の思いや、本プログラムを通して世界が抱える課題を解決し、パラダイムを変える「挑戦者」と「開拓者」と成る人材への期待などが熱く語られました。最後に山下ディレクターが今後開催されるSiEEDの講義について紹介し、本プログラムへのさまざまな価値観を持った人たちの参画を呼び掛けました。
カンファレンスには本学学生や教職員、企業、自治体関係者だけに留まらず、小・中・高校生や他大学の学生らも参加。当日の飛び入り参加者らもあり、会場に入りきれない方々も出ため、会場に隣接する大会議室を開放して中継会場を設置しました。カンファレンス後に開催されたレセプションでも若い世代の人たちが槇野学長をはじめ、登壇者らと熱心に意見やアイデアなどの交換が行われ、終日、所属や地域、世代を超えた数多くの人たち熱気とにぎわいで会場が包まれました。
SiEEDプログラムは、本学においてこれまでにない新たな取り組みのひとつです。また、周囲を見渡しても起業のイロハやテクニックを伝授し、起業家を多く輩出するなどのよくある「起業を目的」としたプログラムは数多く見受けられますが、アントレプレナーシップ(起業家精神)とイントラプレナーシップ(改革者精神)の根幹となる精神、未知の問題を発見し未知の解決法を自ら創造する力を涵養するプログラムは非常に稀です。これまで本学のみならず岡山の地で培われ、近年ではSDGsの取り組みをも融合して大きく成長してきた“社会課題解決の遺伝子”の種を、このSiEEDプログラムを通じて、これまでにない実りある成果へとつなげていきます。そして、多様な人達がパラダイムを変える「挑戦者」と「開拓者」の精神を持ち、世界が抱える現代と未来の課題を解決する人や組織の源となる試みを確実に進めていきます。
SiEEDホームページ:https://www.sieed.info/
※1 SiEED
SiEED(シード)とは、「STRIPE intra & Entrepreneurship Empowerment and Development」の頭文字から取ったものです。
<参考>
・岡山大学新着ニュース「未知の問題を発見し未知の解決法を自ら創造する力を涵養 岡山大学「SiEED」プログラムを設置」(2018年12月6日)
・定例記者会見「世界で活躍するイノベーターと語り合う「SiEED Conference 2019」を開催【第3報(最終報)】」(2019年3月29日)資料1 添付資料1 添付資料2 添付資料3
・You Tube岡山大学チャンネル「SiEEDプログラム講義:アントレプレナーシップ入門」(2019年4月8日)
・ You Tube岡山大学チャンネル「SiEEDプログラム講義:革新的起業と先端技術」(2019年4月9日)
【本件問い合わせ先】
全学教育・学生支援機構 SiEED-Okayama起業家精神養成学講座 特任助教 鈴木真理子
TEL:086-251-8546
世界で活躍するイノベーターと語り合う「SiEED Conference 2019」を開催
2019年04月17日