国立大学法人 岡山大学

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Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.78 発行

2020年03月18日

 本学は3月17日、岡山大学の強みのひとつである医療系分野の研究開発の成果について、革新的な技術に橋渡すことのできる基礎研究や臨床現場、医療イノベーションなどに結びつく成果などを英語で世界に情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.78を発行しました。
 2012年より岡山大学では、研究成果や知的財産、技術移転活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年3~4回発行。世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者などにニュースやトピックスを交えて配信し、岡山大学の海外への情報発信の強化と国際的知名度の向上などを推進しています。
 OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、岡山大学の強みある医療系分野とその融合分野などの更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。
 本号では、大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)口腔病理学分野の河合穂高助教らの口腔がんの血管に発現する新たな標的物質を発見した研究成果について紹介しています。
 河合助教と吉田沙織大学院生、同研究科歯科薬理学分野の江口傑徳助教らの研究グループは、口腔がんに栄養を供給する血管に発現するケモカインレセプター・CXCR4を阻害することで、特徴的な腫瘍壊死(Tumor Angiogenic Inhibition Triggered Necrosis:TAITN)が引き起こされることを発見しました。
 腫瘍組織は組織の維持や増殖のために多くの酸素や栄養が必要です。その酸素や栄養は、腫瘍組織の中を走る腫瘍血管から摂取しています。そのため近年では、腫瘍血管を標的とした抗腫瘍血管治療が行われていますが、腫瘍が薬剤耐性を獲得してしまい、薬剤の効果がなくなってしまうことが問題です。これは腫瘍が複数の種類の腫瘍血管形成経路を駆使して自らの生存を図っているからだと考えられます。今回の研究は、従来の抗腫瘍血管治療とは異なる血管新生の経路に着目した新しい研究で、非常にユニークな腫瘍壊死パターンを報告しました。また、得られた知見は今後の新たな抗腫瘍血管治療の足がかりになると共に、薬剤耐性を獲得した腫瘍に対する次の一手になる可能性を秘めた成果です。
 岡山大学は、2013年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある分野の国際的な情報発信を力強く推進しています。今後も強みある医療系や異分野融合から生み出される成果を産学官民共創のオープンイノベーションの加速や社会、医療現場が求める革新的技術、健康維持増進により早く届けられるように研究開発を推進していきます。
 なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.78:Disrupting blood supply to tumors as a new strategy to treat oral cancer


<Back Issues:Vol.70~Vol.77>
Vol.70:Prosthetics for Retinal Stimulation (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 松尾俊彦准教授&大学院自然科学研究科(工学系)内田哲也准教授)
Vol.71:The nervous system can contribute to breast cancer progression (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)神谷厚範教授)
Vol.72:Synthetic compound provides fast screening for potential drugs (大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)加来田博貴准教授)
Vol.73:Primary intraocular lymphoma does not always spread to the central nervous system (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 松尾俊彦教授)
Vol.74:Rising from the ashes-dead brain cells can be regenerated after traumatic injury (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)阿部康二教授、山下徹講師)
Vol.75:More than just daily supplements-herbal medicines can treat stomach disorders (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)高原政宏医員)
Vol.76:The molecular pathogenesis of muscular dystrophy-associated cardiomyopathy (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)片野坂友紀講師)
Vol.77:Green leafy vegetables contain a compound which can fight cancer cells (大学院環境生命科学研究科(農学系)中村宜督教授)


<参考>
「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」バックナンバー
岡山大学国際Webマガジン「Okayama University e-Bulletin」


【本件問い合わせ先】
総務部 広報課
TEL:086-251-7293
E-mail:[email protected]

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