本学技術統括監理本部を構成する組織のひとつである総合技術部は、2022年度より東京工業大学が事務局を行っている高度技術職員養成の取り組みの一つであるTCカレッジに、そのサテライト校として参画しています。本学では、大学における技術職員の高度人材養成などを他大学と協働で推進しており、「岡山大学TCカレッジ医工系コース」は、昨年度の学内開講の試行期間を経て、本年度は学外も含めた本格開講となりました。5月29日に第1回目となる「上級カリキュラム医工講究」を本学鹿田キャンパスにおいてオンライン併用のハイブリッド形式で開講し、本学総合技術部の楢崎正博技術専門職員、塚野萌美技術主任ら関係する教職員が受講しました。
開講にあたり、本コースの監修教員であり、総合技術部の本部長である佐藤法仁副理事・副学長・上級URAが「医工講究は学術的にも技術向上の面においても高度人材養成にふさわしいカリキュラムであり、受講することにより技術職員の高度化を進め、さらにこのような取り組みを積み重ねることで、大学全体の底上げをしていきたいです。また、今後はさまざまな職員が参加され、ネットワークの構築や新たなイノベーションが起きることを祈願しております」とあいさつ。また本コースの監修教員である本学自然生命科学研究支援センター分析計測・極低温部門分析計測分野の多田宏子教授からも「医工講究で取り扱う内容は、即物的な技術だけではなく、学問的な背景や本質に立ち返り調査・説明を行うという従来の技術職員であればスキップしがちな部分であると思います。技術職員が研究者のパートナーとして、もう一歩成長するためには重要なカリキュラムだと思います」とあいさつしました。
その後「走査型電子顕微鏡(SEM)血管鋳型樹脂の改良について」と題して、楢崎技術専門職員が発表。生物系における各電子顕微鏡の見え方の違いの説明から始まり、血管鋳型樹脂の最適条件の検討、動物を用いたin vitro実験での微細構造の血管鋳型試料作製法の検討などを紹介しました。また、試料作製における問題点やポイント、実験研究における活用事例などを説明しました。
発表後、参加者から多くの質問が寄せられたほか、活発な意見交換が行われ、有意義な医工講究となりました。また、参加者からは「血管鋳型についてよく知らなかったので、とても興味深く聴講しました。機会があればぜひ実験活用してみたい」などのコメントも寄せられました。
最後に総合技術部の田村義彦部長から「今回の血管鋳型という手法は工学系の機械でも鋳物という似た手法があります。分野が違ってもさまざまな技術はお互いに共通する点もあり、講究を通じて色々な勉強をすることは非常に大切であると感じました」とあいさつがありました。
医工講究は、計5回の開催を予定しています。引き続き、技術職員の発表や参加者との意見交換を通じて理解を深め、技術力の向上に取り組んでいきます。
本学総合技術部は、全学の技術職員の連携を深めるとともに、多様な研修プログラムを通して技術職員のスキルアップを図ることにより、本学の長期ビジョン2050の実現に根差した研究・教育・臨床などの強化を推進しています。さらに文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」(実施主体:日本学術振興会)などの岡山大学長期ビジョン2050実現のための取り組みを生かして新たな価値の創造などを戦略的に推進しています。今後も地域と地球の未来を共創し、社会変革を実現させる研究大学:岡山大学の絶え間ない変化と挑戦と、それを担う技術職員の活動にご期待ください。
<参考>
・TCカレッジ岡山大学サテライト校「医工系コース」開講 ~技術職員の「高度専門人材養成」を強化促進~
・TCカレッジ岡山大学サテライト校医工系コース中級カリキュラム「生物系走査型電子顕微鏡(基礎)」を実施
・TCカレッジ岡山大学サテライト校医工系コース中級カリキュラム「生物系透過型電子顕微鏡(基礎)」を実施
・研究現場の生の声を聞き技術職員のスキルアップを図るTCカレッジ「医工系コース」での研究室見学を実施
・研究現場の生の声を聞き技術職員のスキルアップを図るTCカレッジ「医工系コース」での鹿田キャンパス研究室見学(第2弾)を実施
【本件問い合わせ先】
岡山大学総合技術部医学系技術課(医工系コース担当) 阿部匡史
E-mail:tabe◎md.okayama-u.ac.jp
※◎を@に置き換えてください。
https://www.okayama-u.ac.jp/user/techall/
「岡山大学TCカレッジ医工系コース」2024年度カリキュラムを始動~技術職員の知識・技術力の向上を目指し「高度専門人材養成」を強化促進~
2024年06月13日