第11回岡山弁護士会・岡山大学法学部共催 ジュニア・ロースクール 報告
第11回ジュニア・ロースクール岡山の開催
【事業の概要】
2015年11月14日(土)午後1時~5時に、岡山弁護士会と岡山大学法学部の共催で、第11回ジュニア・ロースクール岡山を開催しました。 ジュニア・ロースクール岡山は、中学校3年生・高校生を対象に、法的なものの考え方を学んでもらう目的で毎年開催しているものです。
今年度は、中学生7人、高校生20人、計27人の生徒に参加していただき、第1限「インターネットでのその書込み、大丈夫ですか?」、第2限「『正当防衛』ってどんなもの?」について、5人程度のグループで話し合い、考えてもらいました。グループ討議では、岡山大学法学部学生がチューターとして助言しました。グループ討議後の意見発表では、事例についての法律の考え方をよく理解しながら、多様な意見が出されました。
一 内 容
第1限 「インターネットでのその書込み、大丈夫ですか?」
ツィッター、フェイスブックなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使って私たちが情報発信する際、その内容によっては他人に迷惑を及ぼし、犯罪とされることもあります。ここでは、「ツィッターで高校の爆破予告を投稿した」という仮想事例を取り上げ、これがモラル上どのような問題があるか、そして犯罪として処罰されるかどうかを考えてもらいました。併せて、そのような問題を防止するために個人や社会がどのような対応を取ることが望ましいかについても考えてもらいました。
教材は、岡山大学法学部の情報法演習において教員の指導の下で学生が考え、関係者の意見をいただき作成しました。ジュニア・ロースクール当日は、岡山大学法学部教員が授業を進行し、法学部の情報法演習の学生がグループ討議の助言をしました。
第2限 「『正当防衛』ってどんなもの?」
最初に、(1)正当防衛とはどのようなことをいうのか、(2)正当防衛はなぜ認められているのかについて、簡単な事例で理解してもらいました。
次に、以前からトラブルがあった二人が言い争いの末互いに相手を攻撃したという仮想事例を設定し、その事例において正当防衛が成立するかどうかを考えてもらいました。進め方としては、第一に、説明した具体的な事実の中から正当防衛が成立するための要件に関係する事実を拾い出し、それぞれについて正当防衛が成立するための要件に該当するかどうかを考えてもらいました。続いて、それらを総合的に考えて、正当防衛が成立するかどうかを、グループで議論してもらいました。
それらを通して、刑事裁判の基本を理解してもらうとともに、正当防衛という事例を通じて法の解釈の仕方についても考えてもらいました。
教材は、岡山弁護士会の弁護士と岡山大学法学部の法友会の学生が協力して作成しました。ジュニア・ロースクール当日は、岡山弁護士会所属の弁護士が授業を進行し、法友会の学生がグループ討議の助言をしました。
二 参加した中学生・高校生の感想
参加者にはアンケートに回答してもらいましたが、全体的に、「わかりやすかった」、「楽しかった」という回答が多くありました。
第1限では、次のような感想がありました。
「楽しくグループ内で話し合えて、意見も出すことができた。」
「チューターさんの、より真意をつこうとする、私たちのたどたどしい”何となく”な意見を導こうとする、そんな質問の投げかけに本当に助けられ、良い意味で考えさせられ、困りました。」
また、第2限では、次のような感想がありました。
「4の問題(正当防衛が成立するかどうかの事例問題)は、すぐに有罪・無罪が決められないのが難しかったけど、みんなの意見を聞いて“こういう考えもある”というのも知れて一番よかった。」
「とても難しい問題でしたが、難しければ難しいほど、考え所があってとても楽しかった。」
三 法学部学生がチューターとして助言
今回のジュニア・ロースクールでも、第1限については法学部のゼミで情報法を学んでいる学生、第2限については学生サークル「法友会」に参加している学生に教材づくりの段階から参加してもらい、当日はチューターとしてグループで助言してもらいました。法学部生にとっては、大学で学んだ法的知識を応用・活用する能力やコミュニケーション能力を高める機会となりました。