周産母子センター

診療・運営体制

周産母子センターはこれまで地域周産期母子医療センターとして,NICU6床・新生児室12床で診療してきましたが,NICUが満床となることが多く,近隣病院への母体搬送や新生児の受け入れをお願いしていました。しかしながら,近年急増するハイリスク妊娠や産科救急の受け入れ先としての重要性と,母体合併症に伴い出生した早産児や重症の先天性外科疾患を有する新生児を受け入れる必要性がますます高くなってきました。このため,2024年9月よりNICU12床・GCU12床に拡充しました。さらに,2025年6月よりMFICU6床も設置され,総合周産期母子医療センターとして発足し,地域の周産期医療の中核,そして周産期医療に携わるスタッフの育成の役割を担ってまいります。

センター長
増山  寿

診療内容・特色

周産母子センターでは,「産科医」と「新生児科医」が診療科を超えて協同で周産期医療にあたっています。妊娠から分娩,その後の新生児管理までを1つのセンターで行っており,院内の各診療科専門医とも連携して診療にあたっています。そして年間を通じて夜間休日に関わらず,常に高度で最新の周産期医療を安全に提供できる体制を整備しています。
当センターは岡山県の「地域周産期母子医療センター」として,産科部門は母体22床,新生児部門はNICU(新生児集中治療室)6床,新生児室12床で運用してきました。しかし慢性的に満床状態であることから,患者さんや県内外の医療機関には大変なご不便をおかけしていました。そのため拡張工事を行い,2024年9月1日より新生児部門をNICU12床およびGCU(回復期治療室)12床へと増床することで,安全かつ効率的な運用が可能となりました。

当センターの特徴として「胎児の外科疾患合併症例」に対して専門的な治療ができるため,多くの症例を受け入れていることが挙げられます。羊水穿刺などによる胎児の染色体・遺伝子診断や,超音波検査やMRI検査による胎児診断を行っていますが,特に胎児心臓超音波検査は高度先進医療として認められています。これまでに心臓血管外科,小児外科,脳神経外科,口腔外科,耳鼻咽喉科,眼科疾患について,妊娠中から出生後の治療に至る一連の管理を目的に,県内だけでなく他県からも多くの患者さんをご紹介いただいております。今回の増床により,当センターが都道府県の枠にとらわれずにより多くの患者さんの受け皿となることが可能となります。

当センターでは合併症のある妊婦さん,早産や多胎などの「ハイリスク妊娠」の診療を行っていますが,妊娠は成立するが流早産を繰り返して生児の得られない「不育症」の診療にも注力しております。中国四国地方一円からご紹介いただいた不育症妊婦さんを数多く診療している点も当センターの特色になっています。
そして当センターには生殖医療部門を併設しております。クリニックで対応ができない合併症のある女性の不妊治療に対応しており,妊娠判明後もそのまま周産期管理を当センターで行います。さらに「がん生殖医療」にも対応しており,生殖可能年齢の女性がん患者さんの配偶子保存を関連施設と協力しながら行っております。
 

診療実績

 
  産科部門入院患者数 分娩数 新生児部門入院患者数
2020年 617 402 372
2021年 559 352 320
2022年 612 380 369
2023年 533 346 323