岡山大学病院のドクターカーについて

ドクターカーについて

2021年8月から大型の救急搬送車「ドクターカー」を配備しています。当院のドクターカーは一般の救急車よりも車内が広く,医師や看護師,臨床工学技士,救急救命士などの医療従事者が最大で8人まで乗り込み,活動を行います。人工心肺装置「ECMO(エクモ)」を搭載できるほか,自動体外式除細動器(AED)や自動心臓マッサージシステム,人工呼吸器などの医療機器を整備し,病院到着前の搬送時から早期に治療介入ができるようになっています。 


 

 

ドクターカーの役割・機能

 1. 重症患者の広域搬送
  • ECMOなど生命維持装置を装着した状態での遠隔地からの安全な患者搬送が可能。
  • ストレッチャーは300kgまで対応のリフトを装備。
  • 救急救命士が2名在籍(2023年2月現在)しており,医師を含めた多職種で連携しながら安全な搬送に努めています。
  2. 覚知要請・現場出動
  • 2023年度からは,救急車とドクターカーが同時に現場へ駆けつける運用を開始予定。
  • 出動範囲を県全域に拡大予定。

  3. DMAT出動
  • 衛星電話,テレビモニター,大容量バッテリー,サイドオーニング(幕体)を装備しており,災害時にはドクターカーを現場に派遣して,臨時治療拠点とすることが可能。 

ドクターカーのデザイン

車体外観の装飾は,岡山大学病院の職員による広報チーム「岡大病院Face活性化ミーティング」メンバーの本多寛之医師(総合内科・総合診療科)がデザインしました。側面に描かれた青,水色,グレー,赤の4本の曲線は船舶の航走波をイメージしており,ドクターカーが現場に駆け付けるスピード感を表しています。
  

 

運行実績

2024年度

2024.4月- ・ECMO患者
・ピックアップ(他院搬送含む)
転院搬送 月別合計
2024.4月 1 23 24
2024.5月 1 38 39
2024.6月 1 43 44
2024.7月 3 59 62
2024.8月 1 48 49
2024.9月 4 58 62
2024.10月 7 58 65
合計 18 327 345
総計数

2023年度

2023.4月-2024.3月 ・ECMO患者
・ピックアップ(他院搬送含む)
転院搬送 月別合計
2023.4月 2 7 9
2023.5月
9 0 9
2023.6月 4 1 5
2023.7月 2 3 5
2023.8月 3 1 4
2023.9月 6 0 6
2023.10月 4 10 14
2023.11月 6 4 10
2023.12月 4 8 12
2024.1月 0 13 13
2024.2月 3 9 12
2024.3月 3 10 13
合計 46 66 112
総計数

2022年度

2022.4月-2023.3月 ・ECMO患者
・ピックアップ(他院搬送含む)
転院搬送 月別合計
2022.4月 2 1 3
2022.5月
2 2 4
2022.6月 2 1 3
2022.7月 5 3 8
2022.8月 2 0 2
2022.9月 8 5 13
2022.10月 6 5 11
2022.11月 0 3 3
2022.12月 1 8 9
2023.1月 2 5 7
2023.2月 2 4 6
2023.3月 0 4 4
合計 32 41 73
総計数

主な活動(訓練等)

2024年度

  • 瀬戸内市消防本部・東備消防組合との合同連携訓練<2024年7月13日>

瀬戸内市消防本部と東備消防組合との合同でドクターカーによる患者搬送の連携訓練を行いました。瀬戸内市内の住民が強い胸の痛みを訴え119番通報,瀬戸内市消防本部の通信指令室から岡山大学病院のドクターカーへ出動要請があったとの想定で実施。救急隊は携帯電話を使い,患者の症状や容体などをドクターカーの医師へ伝えながら搬送し,ドッキングポイントで患者を救急車からドクターカーへ移乗させて岡山大学病院へ搬送する―という手順を確認しました。
終了後は参加者で振り返りを行い,今後の活動や患者搬送の運用方法などについて協議されました。


 

 

 
 
  • 玉野市消防本部とのドッキング搬送訓練<2024年6月8日>

玉野市消防本部と連携した患者搬送の運用開始を前に,玉野市消防局と合同で救急車とドクターカーが落ち合って傷病者を引継ぐ“ドッキング”訓練を実施しました。
玉野市内で災害事案が発生,玉野市消防本部から救急隊が出動するも傷病者の状態から岡山大学病院のドクターカーへ出動要請があり,救急隊とドクターカーがそれぞれドッキングポイントで落ち合い,傷病者を移乗させて岡山大学病院へ搬送する―という想定で実施しました。
訓練は,患者搬送だけでなくスマートフォンの位置情報共有アプリを使って,救急隊,指令課,岡大病院ドクターカーの3者がドッキングポイントに到着するまでの間,それぞれの車両位置を把握しながら,傷病者の情報を共有できているかについても確認しました。

ドッキング訓練終了後の振り返りでは,位置情報がきちんと共有できていたか,出動にかかる時間,人員や資機材は適切であったかなどを確認し,今後の活動や運用方法なども協議されました。


 

 

 
 

2023年度

  • ドクターカー現場出動シミュレーション<2023年4月26日>

岡山市消防局との連携体制が整い,ドクターカーの本格的な現場出動を開始したことを受けて院内関係者によるシミュレーションを行いました。「岡山市郊外で複数台の玉突き事故が発生し,多数の傷病者あり。車内の閉じ込め事案に対して,岡山大学病院のドクターカーの出動要請」との想定で,実際の動きに沿って会話も実際のやりとりで行いながら実施。医師,看護師,救急救命士,事務部門の職員がドクターカーで出動~帰院までの流れを確認しました。
 

 

 
 
  • 岡山県消防防災航空センターとの連携訓練<2023年9月29日>

岡山大学病院と岡山県消防防災航空センターとの合同で,ドクターヘリ出動時に必要となる連携に係る訓練を行いました。当院からは医師や看護師,救急救命士など約10名が参加。岡山県消防防災ヘリコプター「きび」に関する基礎講習を受けた後,岡山大学病院のスタッフが「きび」に搭乗し,岡山空港から岡山大学病院上空までをフライトして機内でのコミュニケーションやドクターカーへの患者引継ぎなどを体験しました。

医師らが「きび」に同乗
 
岡山空港から岡山大学病院周辺までフライト
 
 
ヘリコプターからドクターカーへの患者引継ぎ訓練
 
  • 岡山大学教育学部附属幼稚園へ出張<2023年10月14日>

岡山大学教育学部附属幼稚園「DAD秋祭り」に出張し,ドクターカーを展示しました。
園児たちは車内に乗り込んで機材を触ってみたり,ストレッチャーに寝転んで搬送される様子を体験したりしていました。親子で楽しんでいただけました。
 

 
 
 
 
  • 秋の火災予防運動期間中の特別訓練<2023年11月7日>

岡山市消防局と合同で秋の火災予防運動期間中の特別訓練を行いました。岡山市立山南学園(岡山市東区北幸田)の協力により,児童・生徒,教職員の皆さんが見学する中,南海トラフ地震が発生し,建物から出火,傷病者の救助活動に時間を要する可能性があり,病院への搬送に時間がかかるため,ドクターカーの出動要請があったとの想定で行われました。
訓練では,地震により住宅が倒壊し負傷者が3名発生したが,いずれも瓦礫などに挟まれていて救助活動が必要であり,そのうちの1名は「クラッシュ症候群」疑いで救出前に救急救命士が点滴処置を実施,救出後はドクターカーに収容して搬送する,という一連の流れを確認しました。救急救命士は,特定の条件下で医師の指示を受けることで,点滴処置や薬剤の投与,チューブを使用した気道確保といった処置を行うことができます。
終了後は,山南学園の皆さんとともに振り返りを行い,今後高い確率で発生するといわれる南海トラフ地震に備えて家具の固定や食料等の備蓄,地震による火災への予防法などを岡山市消防局が指導しました。
 

 

 
 

 

 
 
  • 中国地区DMAT連絡協議会実働訓練に参加<2023年11月24~25日>

中国地方5県の災害派遣医療チーム(DMAT)でつくる「中国地区DMAT連絡協議会」による合同訓練が11月24~25日に行われ,当院からもDMATチームとして医師,看護師,救急救命士,放射線技師,事務職員らが参加しました。
岡山県南部に大型で強い台風が上陸し,土砂災害や浸水が発生,多くの負傷者が出た―との想定で,当院のチームは医師・看護師が災害現場での医療活動や患者トリアージ,患者搬送支援を行い,業務調整員が現場指揮所で傷病者の情報把握,患者搬送情報の伝達,岡山DMATカー(ドクターカー)での患者搬送を行いました。
災害が少ないといわれる岡山県ですが,災害拠点病院として災害発生時の対応力向上を図るため,今後もDMAT活動や訓練に積極的に参加していきます。
 

 

 
 

 

 
 
  • 岡山市消防局との交通救助事故想定訓練<2023年12月2日>

岡山市消防局北消防署との交通救助事故想定訓練が行われ,当院のドクターカーが参加しました。乗用車2台による交通事故が発生し,運転手が車内に閉じ込められて救助に時間がかかるため,ドクターカーの出動要請があったとの想定で行われ,医師,看護師,救急救命士らが参加しました。閉じ込められた運転手を消防のレスキュー隊が救助活動中に運転手の意識レベルが低下したため,ドクターカーで現場に駆け付けた医師が事故車内で治療に介入,もう1台の運転手は事故車両から救出後,現場のドクターカー内で医師らが処置―という流れで実施されました。
 

 

 
 
 

2022年度

  • 木下サーカス会場での消防訓練に参加<2022年7月4日>

「木下大サーカス岡山公演」の会場で行われた消防訓練に「岡山大学病院ドクターカー部隊」から医師1名,看護師4名,救急救命士2名の計7名が参加しました。訓練敷地内の売店から出火し,観客が負傷したとの想定で訓練が始まり,消防隊が救出した負傷者を当院ドクターカー部隊へ引き継ぎ,応急処置をして搬送する一連の流れを確認しました。


 

 

 


2021年度

  • 患者搬送・機材搬入シミュレーション(院内研修)<2021年10月13日>

院内職員を対象とした患者搬送および機材搬入のシミュレーションを実施しました。
 

 

 

 
 
  • 岡山市消防局とのドッキング搬送訓練<2022年3月16日>

​岡山市消防局と連携した患者搬送の運用開始を前に,岡山市消防局と合同で救急車とドクターカーが落ち合って傷病者を引継ぐ“ドッキング”訓練を実施しました。
 

 

 

 
 

広告協賛

当院ドクターカーの活動と岡山県近隣における救急医療体制の維持・充実の趣旨にご賛同いただいた企業・団体の皆さまから,車体に広告を掲載していただいています。
岡山ダイハツ様,ホギメディカル様,備商様からのご協賛をいただいております。
ご協力ありがとうございます。
   

 

 
 

岡山ダイハツ 様


 

 

 

ホギメディカル 様


 
 

備商 様


 
 

ニュース・プレスリリース

 

2024年

 
2024年3月27日 岡山大学病院ドクターカー 救急現場への出動範囲を拡大

2023年

 
2023年5月10日 岡山大学病院ドクターカー 現場出動を開始

2021年

 
2021年9月1日 岡山大学病院ECMOを搭載できる大型救急搬送車「ドクターカー」を配備しました
 

「デジタル田園健康特区」関連事業について

岡山大学は,医療や健康分野に特化した地域の課題解決を目指す「デジタル田園健康特区」に指定されている岡山県吉備中央町との連携事業に参画し,「救急医療における救急救命士の役割拡大」「母子健康情報のデジタル化」「医療や健康情報のPHR(Personal Health Record)基盤への蓄積」を中心とした構想立案の中核を担っています。
岡山大学病院では,医療・介護分野での規制改革実現に向けた「救急医療における救急救命士の役割拡大」について,ドクターカーを用いた取り組みで連携・協力しています。地域の医療機関や消防署と連携しながら,救急救命士が医師の指示のもとで行うことができる処置拡大に向けて,当院と岡山市消防局で先行的に実証実験を行い,実現化に向けて取り組んでいます。
 

救急救命士による超音波検査 規制緩和に向けた実証実験(2023年3月19日)

救急車内で救急救命士が搬送中の患者への超音波検査ができるよう規制緩和を目指した実証実験を実施しました。
詳細はこちらをご覧ください。
 

救急救命士のための超音波検査セミナー(2022年12月13日)

救急救命士を対象とした超音波検査セミナーを実施しました。
詳細はこちらをご覧ください。